そして、最後のカギは、ブロックチェーンと現実の情報を結び付ける「オラクル(神託=神の言葉)」だ。ブロックチェーン上に入力された(確定した)情報は改ざんできないが、入力するデータの真偽が確かめられない場合、システム全体の信頼性が揺らいでしまう。
例えば、死亡保険の契約をブロックチェーンで扱う場合、「死亡」という事実をどのように、誰がブロックチェーンに乗せるのか。パブリックなネットワークであれば、他者が勝手にウソの情報を入力することも可能だ。
保険が扱う情報は秘匿性が高いため、法規制やデータの出自を管理することで対応できるかもしれないが、ブロックチェーンの適用範囲を広げる際に“カベ”になるのは間違いない。「今後、ブロックチェーンを実用化するに当たって、大きな課題になるだろう」と榎本さんは指摘する。
投票で決める、情報をアップデートする機関(中央機関)を作るなど、さまざまな方法が議論されているものの、スタンダードな方法はまだ確立されていない。ブロックチェーンに現実世界の情報をどう入れていくのか。これもまた、ステーブルコインと同様に「仮想(ブロックチェーンの世界)と現実をどう結び付けるか」という点がテーマになる。
「ブロックチェーンのビジネス活用は、グローバルで見ても各社が模索している段階で、1カ月先には状況がガラリと変わってしまうほど、変化が激しい領域です。自分自身、そこがとても面白いと感じていますし、今始めないと、そして100%コミットしないと間に合わないという強い思いの下でLayerXは設立されました。本当にチャレンジングな領域なので、ビジネスのプレイヤーにしてもエンジニアにしても、面白いと思った人はどんどん参加してほしいですね」(榎本さん)
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