GoogleのCEO、中国での「Dragonfly」立ち上げは「計画していない」と下院公聴会で証言

Googleのスンダー・ピチャイCEOが米下院公聴会で初めて証言。中国向け「Project Dragonfly」については「いまのことろ実施する計画はない」とこれまでの説明を繰り返した。

» 2018年12月12日 08時04分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 米Googleのスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は12月11日(現地時間)、約90分間の米下院司法委員会の公聴会で証言した。

 sundar 1 証言するスンダー・ピチャイCEO

 この公聴会のテーマは「Transparency & Accountability: Examining Google and its Data Collection, Use and Filtering Practices(透明性とアカウンタビリティ:Googleとそのデータ収集、使用とフィルタリングの実践の検証)」となっており、質問はGoogleによる個人データ収集、検索結果にバイアスがかかているのではないかという懸念8月に報じられた中国での政府による検閲可能な検索サービス「Project Dragonfly」についてなどの他、多岐にわたった。

Project Dragonflyは「今のところノープラン」

 Project Dragonflyについては、複数の議員が質問した。キース・ロスファス議員(共和党)の「Googleは中国で検閲可能な検索エンジンのプロトタイプを作成したか?」という質問に対し、ピチャイ氏は「中国で検索サービスを提供するとしたらどのようなものになるかを調査はした」と答えた。

 デビッド・シチリン議員(共和党)の「現在もDragonflyプロジェクトに取り組んでいる従業員がいるのか? もしいないのであれば、いつ終了したのか?」という質問には「先ほど申し上げたように、社内で検討はしたが、中国で検索サービスを立ち上げる予定はない」とピチャイ氏は答えた。また、「このプロジェクトは現在社内で検討中だ。中国向けサービス立ち上げに踏み出した段階だ」と語った。「あなたがCEOである間に政府による監視と検閲を可能にするツールを中国で立ち上げるつもりか?」には直接答えず、「Googleのミッションは人々に情報を提供することであり、常にその方法について模索している。われわれは慎重だ」と語った。

「ばか」の画像検索でなぜトランプ大統領の画像が表示されるのか?

 Googleの検索結果に政治的なバイアスがかかっているのではないかという質問も複数の議員がしたが、そのつどピチャイ氏は否定した。ゾーイ・ロフグレン議員(共和党)は「Googleの画像検索でidiot(ばか)を検索するとドナルド・トランプ氏の画像が出る。これはなぜか?」と質問した。

 sunder 2 Google画像検索(英語版)での「idiot」の検索結果

 ピチャイ氏による検索のアルゴリズムについての基本的な説明を聞いたロフグレン氏は「では、カーテンに隠れているこびとさんたちは私たちに何を見せるかを選んでいるのではなく、私たちユーザーが生成しているものをどうソートするかを考えているんですね」と一応納得したようだった。

プライバシーについて

 データ収集については一貫して「どのような個人情報を収集するかについてはユーザーに説明しており、ユーザーがどのデータを提供するか選びやすいようにしている」という説明を繰り返した。


 ピチャイ氏は慎重に回答し、新たな情報を提供することはなく、公聴会を無難に乗り切ったといえる。


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