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Googler、「Project Dragonfly」抗議のための「スト基金」立ち上げ 数時間で20万ドル超

» 2018年11月30日 15時31分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 米Googleが内外に秘密裏に進めていた中国政府公認検閲付き検索サービスプロジェクト「Project Dragonfly」について、米The Interceptが11月29日(現地時間)、新たな暴露記事を公開した。

 dragon 1
 dragon 2 スコット・ビューモント副社長

 この記事では、同社の中国担当責任者であるスコット・ビューモント副社長を中心とする関係幹部が、本来は必要なセキュリティ&プライバシーチームによるプロジェクト評価をさせず、プロジェクト内の従業員を厳しく管理していたことなどを、4人の従業員および元従業員の話に基づいて詳解している。

 同社に約10年務めるエンジニアのリズ・フォン・ジョーンズ氏はこの記事公開後、Project Dragonflyに抗議するためにストライキする従業員のための10万ドルの「スト基金」を立ち上げたとツイートした。数時間後には、従業員や元従業員からの支援で基金は20万ドル(約2260万円)を超えた。

 Dragonflyに抗議するために8月に同社を辞めたジャック・ポールソン氏は米CNBCに対し、「テクノロジー業界の従業員は組織力に気づき始めた。Google幹部に説明責任を果たさせるための取り組みのために資金を投じることを誇りに思う」と語った。同氏はスト基金に1万ドル寄付した。

 Googleの広報担当者はCNBCに対し、このプロジェクトも最終的にはプライバシー&セキュリティチームのレビューを受けることになっており、そのプロセスを飛ばすことは決してないとコメントした。

 Project Dragonflyについては、The Interceptが8月に最初に報じた。ほとんどの従業員がこのプロジェクトについて知らす、報道後に大規模な抗議署名運動が発生。スンダー・ピチャイCEOは全社会議で「まだプロジェクトは初期段階」と説明していた。この全社会議は、参加者が密かにライブ配信していることが発覚し、中断されてしまった。

 11月27日には国際人権団体アムネスティ・インターナショナルがプロジェクトに抗議する署名運動を開始し、多くのGoogle従業員が署名している。

 Googleでは毎週木曜日に全社会議が開催される。29日には幹部から何らかのコメントがありそうだ。ジョーンズ氏は、「今度はリークしないでね」とツイートした。

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