IBMが手掛けたディベート(討論)用AI「Project Debater」が、実際にディベート大会で優勝経験もある人間と、数百人の前で本気の対決を繰り広げた。その実際の模様と、開発の意外な目的とは。
AIと人が真正面から意見を戦わせたらどうなるか、想像したことはあるだろうか? 米国時間の2019年2月11日、IBMの年次イベント「IBM Think 2019(2019年2月12〜15日、米国サンフランシスコで開催)」に集まった数百人の観客を前に、そんな夢(?)の対決が実現した。
IBMの研究機関であるIBM Researchが開発したディベート用AI「IBM Project Debater(以下、Project Debater)」と、2012年には欧州のディベート選手権で優勝し、2016年には世界ディベート選手権で決勝に進出した経験もある“人間代表”のHarish Natarajan氏。この両者がディベート(討論)を行ったのだ。彼らはどんな意見を戦わせたのか。そしてその結果は……。世紀の一戦の様子を現地からお伝えする。
ディベートとは、1つのトピックについて「賛成」「反対」など対立する立場から、個人同士ないしは複数人のチーム同士で意見を戦わせるもの。欧米などの学校教育では広く取り入れられていて、聴衆に対する説得力がどれだけあったかで勝敗を決める。
この対戦は、IBMと全米でディベート大会を開催するIntelligent Squared U.S.の協力で実現した。
米国のニュース放送局ABCで活躍した元ジャーナリストであり、同イベントの司会進行役を務めるJohn Donvan氏は、試合前に「ディベートの神髄は、勝敗よりもむしろ、互いの意見をぶつけ合うことで議論をどこまで進展させられたか、見る側が参考にできるような知見や創造的な意見を生み出せたか、といった過程や内容にあります。
AIとディベートの名手がこれからどんなやりとりを見せるか、歴史的な瞬間に立ち会えることにドキドキしています」と語った。
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