インタビュー
» 2019年03月27日 08時00分 公開

【特集】Transborder 〜デジタル変革の旗手たち〜:レガシーは必ずしも「悪」ではない――ホテル VS. 鉄道、既存産業でデジタル変革の壁を超えるには? (5/5)

[池田憲弘,ITmedia]
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やる気のある「仲間」を増やしていくには?

原さん: とはいえ、うちの場合はやる気のある人がいても、彼らはシステム開発が本業ではないので、質の高い教育やチャレンジできる場があるわけではありません。少しずつでもいいから、それをどう与えていくかが今後の課題かなと思っています。

虻川さん: 京王の場合は、京王ITソリューションズのメンバーをどう育てるかが課題ですね。原さんのところと違って情シス子会社なので、もっと動ける人の割合を高めないといけない。そのためには「刺激を与えれば走り始める人」を見つけて、背中を押してあげる必要があります。最初の一歩を踏み出すのは重くても、急に自走を始める人がいるんですよ。京王バスでkintoneを導入した時も、そういう人が中心にいました。

原さん: システム会社になると話は全然変わるんですね。

虻川さん: もしかすると、いろいろ試したくても奥さんが強過ぎて自由に使えるお金がなかったのかも(笑)。

原さん: それはちょっとツラいな。本当はやりたいのに。

虻川さん: だけど、そういう環境に慣れてしまって、新しいことに目が向かなくなってしまったんだと思うんですよ。僕は結構、習慣って大事だと思っていて、日々新しいものを見る、チェックするという習慣が身につけば、放っておいてもいろいろな情報を集めるようになる。

 何か小さなきっかけでいい。システム会社だけでなくて、京王電鉄本体でもそういう人を育てて、増やしていきたいですね。理想は全員がそうなればいいけど、そうはいかない。ただ、少なくとも自分が動かなくていい状態にしたいです。人が育つ連鎖を作ることが最近の目標なんですが、kintoneとかAWSについてはその状態に近づいてきています。若手などに向けた勉強会を自ら開いてくれていますし。

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原さん: 何か責任を持たせるっていうのも、良いきっかけになるんじゃないかと思います。僕の場合、新しくシステムを作ったときに、一番使えなさそうな人と一緒に作ったり、その人を周りに使い方を教える責任者にしたりするんですよ。

虻川さん: それは良い手ですね。僕はシステムの仕様を決めるときに、ある意味一番使えなさそうな人をモデルにすることがありますが、それと似ているかもしれないですね。

原さん: 固い人でも自分が関わったという意識を持つと、いきなり変わるんですよ。ただ一方で難しいのは、モノを使うことはできても、例えばデータとかを見て、そこから分析をして、次のアクションにつなげるって、また別の思考が必要になるじゃないですか。そういう次のレベルに持っていくのは難しい。

虻川さん: 慣れですかね?

原さん: それだけじゃないと思います。業務以外にもいろんな知識を持っていないといけないので、大きなカベがあるように感じています。だから他の教育もどんどん投入していかないと、本当に良いシステムが生かされない。単に作業が楽になるだけで終わるのはもったいないなと。

 今は本当にあらゆるところがIT化して、データがどんどん出てきて、今まで見えなかったものが見えるようになってきている。そのときに「こんな示唆が生まれるんだ」ということを理解できると、現場はさらに変わります。その例を見せることで変わるのかなとは思っているのですが。

虻川さん: そうですね。それをちゃんと可視化して、共有する。それをやった人が評価されるというのが繰り返されて、「俺だってできるぞ」という雰囲気になったら、こっちの勝ちですよね。(後編に続く)

特集:Transborder 〜デジタル変革の旗手たち〜

 ビジネスのデジタル化が急速に進む今、事業や企業そのものを変えるために、これまでと異なる考え方や人材が必要になっています。

 システム企画と実装、業務部門とIT部門など、異なる部署や仕事の境界に立ち、それを飛び越えてつないでいく――そんな「越境」を通じて、さまざまな視点や考え方を得ることで、初めて変革を導くことができるのではないでしょうか。

 本特集では、越境に成功したり、挑戦したりする人間にスポットを当て、彼らが歩んできたキャリアやITに対する考え方に迫っていきます。

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