AIや自律化したロボットは、次の二つを実現しようとしています。一つは「人間にしかできなかったこと」を代替し、“人間の作業を効率化する”こと、そしてもう一つは「人間にはできなかったこと」を実現し、“人間の能力を拡張する”ことです。
人間の作業を効率化する例としては、次のようなものがあります。
人間の能力を拡張する例としては、次のようなものがあります。
一方で、AIがこれまで人間にしかできなかった仕事を奪ってしまうのではないかとの懸念があります。
ただ、テクノロジーによる人間の仕事の代替は、過去にも起きています。例えば、ブルドーザーやパワーショベルの登場によって土木工事作業員の仕事が代替され、短期間で工事を終わらせられるようになったり、それ以前には考えられなかった大規模な土木工事ができるようになったりしました。また、工場の自動化で納期の短縮や製品コストの削減が実現し、製造工程における人間の仕事は減りました。しかし、人間は管理やサービスといった仕事に役割を転じてきました。テクノロジーが新たな価値をもたらし、人間の役割が変わっていくのは今も昔も変わらないのです。
それでも、機械が人間よりも優れた知能を持つようになり、人間を支配する時代が来るかもしれないと心配をする人もいます。
ただ、「知能とは何か」をいまだ解明できておらず、知能を工学的に実現する見通しは立っていません。それを心配するよりも、人間に代わって安全、確実に効率よく作業ができるようになったり、人間の知的能力を拡張し、これまで不可能だったことができるようになったりするメリットを積極的に生かしていく方が、AIやロボットとの現実的な関わり方といえるでしょう。
特に少子高齢化が進むわが国では、今後働き手が少なくなっていくと予測されています。不足する労働力を補い、経済や生活の質を維持していくには、AIやロボットをうまく使いこなす必要があります。
例えば自動運転車は、過疎化、高齢化が進む地方の交通手段や輸送手段として、「地元の足」となり欠かすことができないものになるでしょう。
また人に話しかけるように声で操作できれば「機械の操作は難しくて使いにくい」といったこれまでの常識も変わるでしょう。高齢者や従来コンピュータの操作が難しかった人たちは、これにより大きな恩恵が得られます。
AIやロボットの実用についての模索は始まったばかりですが、着実に成果を上げつつあり、もはやなくてはならない存在になろうとしています。
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィールはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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