テレワーク普及は“とにかく体験させる”が鍵? シスコがWebexの特別プランを発表2020年夏には全社でテレワークを実施(2/2 ページ)

» 2019年08月23日 07時00分 公開
[阿久津良和ITmedia]
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ロンドンに続くか? テレワーク普及や就業規則改訂などの「効果」に期待

 他の先進国と比べると、日本企業のテレワーク推進は遅れがちだ。2017年から内閣府を含む各省が共同で「テレワーク・デイズ」を展開し、2019年は7月22日から9月6日までの期間を設けて実施しているが、総務省が2019年5月に発表した「平成30年通信利用動向調査」によれば、2018年時点で日本のテレワーク導入率は19.1%。2017年に13.9%だった点を考えれば向上したが、米国の85%、英国の38.2%、ドイツの21.9%と比べて誇れる数値ではない。

 しかし、労働環境の向上を定めた「働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)」は2019年4月に施行されたばかり。石黒氏は今後、数値が改善する可能性は高いと見ている。

 この点を受け、石黒氏は「Web会議システムの普及は『ITリテラシーの向上』がキーワードだった。われわれはWeb会議のユーザーに新しい満足感や体験を提供することで、利用シーンの醸成を目指す。『テレワークに挑戦したら便利だった』という体験がゴールだ」と、今回のプラン提供の狙いを語る。

 シスコが注目するのは、2012年に開催されたロンドンオリンピックの後、英国の働き方に起きた変化だ。同大会開催に伴い、英国でテレワークを実施した企業は75%にもおよび、柔軟な就業規則を導入する企業も43%に増加。72%の企業がネットワークインフラを改善したという。

シスコが公開した社内のショールームの1つ。会議参加者を顔認証技術で検出するシステムを備えている。また、日本語未対応ながらも英語音声による会議参加・退出なども可能だ

 ウエスト氏はこれらの数字を引き合いに出し、「日本でも同様の結果が出ることを期待したい。日本企業の文化やプロセスが存在するものの、(テレワーク導入という)志を高く持って実践する努力が必要。そのためのテクノロジーをシスコは提供する」と語り、日本企業におけるテレワーク導入を推進する姿勢を打ち出した。

 シスコは、自社端末を使ったWeb会議システムを、オープンAPI経由で「Skype for Business」などの他社製品に接続可能とし、他社の端末にも接続できるゲートウェイを実装することで、グローバルシェア43%まで拡大した「Cisco Webex」のブランド構築を推し進めてきた。2019年中には、0AB-J番号(「03」「06」など固定電話に割り当てる番号)を付与し、モバイルアプリを使って音声によるコミュニケーション環境を提供する「Cisco Webex Calling」の提供も予定している。

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