日本マイクロソフトが今夏に実施した働き方改革の効果測定結果を公開した。本稿では、この取り組みが企業文化の変革にどう結び付くのか、考察したい。
「企業文化の変革なしにデジタルトランスフォーメーション(DX)は推進できない。私たちはそれを自ら実践するための施策として、働き方改革に注力している」
日本マイクロソフト 執行役員常務クラウド&ソリューション事業本部長兼働き方改革推進担当役員の手島主税氏は、同社が先頃開いた働き方改革に関する記者説明会でこう切り出した。働き方改革が企業文化の変革、そしてDX推進のパワーになるという考え方である。
この考え方に基づいて、日本マイクロソフトは自社で実践する働き方改革(ワークスタイルイノベーション)の新たな取り組みとして、「週休3日制」などを採り入れたプロジェクト「ワークライフチョイスチャレンジ2019夏」を今夏に実施し、今回の会見でその効果測定の分析結果を公開した。
同社は働き方改革を経営戦略の中核に位置付けており、自社の基本理念として「ワークスタイルチョイス」を掲げている。ワークスタイルチョイスとは、社員一人一人が仕事(ワーク)や生活(ライフ)の事情や状況に応じた多様で柔軟な働き方を“自らがチョイス(選択)”できる環境を目指すという考え方だ。
今回の取り組みでは、このワークライフチョイスの推進に向けたプロジェクトを自社で実践することで、全社員(約2300人)が「短い時間で働き、よく休み、よく遊ぶ」ことにチャレンジし、生産性および創造性のさらなる向上を目指した。また、その検証結果を公開することで、顧客企業の働き方改革の参考にしてもらうことを目的としたという。
プロジェクトの実施内容は、図1に示すように、ワークライフチョイス推進の機会を増やす「週勤4日&週休3日制トライアル」と、ワークライフチョイス推進の実践を促す「ワークライフ社員支援プログラム」からなる。前者では、2019年8月の全ての金曜日を休業日とし、正社員は特別有給休暇を取得して全オフィスをクローズした。また後者では、「For Work:自己成長と学び」「For Life:私生活やファミリーケア」「For Society:社会参加や地域貢献」の3つの視点で、自己啓発関連費用や家族旅行費用、社会貢献活動費用などの支援プログラムを実施した。
一方、プロジェクトの効果測定は、削減や最小化を目標とする「削減」、活性化や増加を目標とする指標群「向上」、社員の気持ちや印象を確認する指標群(満足)の3つの観点で実施。その結果が、図2である。この中で最も注目されるのが、中央上段の「2019年8月の労働生産性(社員一人当たりの売上高)が前年同月比で39.9%向上した」という結果だ。
効果測定の結果を説明した日本マイクロソフト マイクロソフトテクノロジーセンター エグゼクティブアドバイザーの小柳津 篤氏によると、「社員の生産性が約4割向上した」というこの結果には、会議などで効率的な時間の使い方を追求したことが寄与したという。
なお、今回のプロジェクトについて、図2に示されたもの以外の結果や社内アンケートの結果については、同社の公式ブログの記事を見ていただきたい。
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