3つ目の「シェアリングサービス」は、モノを所有する形態からコトを利用する形態へ消費を変化させ、シェアリングエコノミーを形成するものである。PwCコンサルティングによると、シェアリングエコノミーとは「個人などが保有する遊休資産などを、インターネット上のプラットフォームを介して他の個人などが必要なタイミングで利用することを可能にする経済活動の総称」と定義付けられている。サービスの領域と内容は表1の通りである。
2019年は、このシェアリングサービスをスタートアップだけでなく、大手企業も本格的に手掛けるようになってきた感がある。ビジネスとして広がり始めた一方で、このサービスのポイントについて、これまでの取材からぜひ記しておきたいことがある。
それは、シェアリングサービスの本質は“問題解決”にあるということだ。例えば、代表的なシェアリングサービスベンダーであるAirbnbは「安く宿泊できるところを見つけたい」、またUberは「A地点からB地点まで安く速く確実に移動したい」という要求に応えるための問題解決を図ることが、サービスの根本にあるからだ。
それが、それぞれの遊休資産を共有して有効活用すれば実現できるのではないかということで、新しいビジネスモデルが生まれてきた格好だ。AirbnbやUberに続いてさまざまなシェアリングサービスが登場しているが、その根本は「この問題を解決しよう」という発想にあると見て取れる。こうしたサービスが日本でも数多く見受けられるようになってきた。
シェアリングサービスと、それが形成するシェアリングエコノミーは、ビジネスにとどまらず、社会のありようをも変えるのではないか、というのが筆者の見立てである。
4つ目として「データ保護」を取り上げたのは、個人情報を含む神奈川県の行政データを格納したハードディスクドライブ(HDD)がネットオークションを通じて流出した問題と、自治体向けクラウドサービスの大規模障害が相次いで発生したことによる。神奈川県のHDDの件は12月21日段階で流出したHDDが全て回収されたようだが、自治体向けクラウド障害はまだ一部復旧していないという。いずれについてもすでに多くの報道がなされているので、その内容については他稿に委ねたい。
2019年は、システム障害やデータ流出がこれまでにも増して多く起きた印象があるが、とりわけ12月に入ってからの上記の2件の出来事は、DX時代が到来してデータの重要性があらためて叫ばれる中で、この2つの事件は何とも良からぬ未来を暗示した動きのように思えてならない。その意味ではデータ保護に対する強い警鐘と受け止めるべきだろう。
以上、2019年の総括キーワードとして「DX」「ハイブリッドクラウド」「シェアリングサービス」「データ保護」を挙げたが、これらはいずれも2020年以降に向けても重要なトレンドになるのは間違いない。引き続き、注目していきたい。
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