トランスフォーメーションをデザインせよ――富士通の新会社にみるDX推進の勘所Weekly Memo(1/2 ページ)

DXにどう取り組めばよいのか――。多くの企業が抱えるこの課題に対し、富士通が2020年4月1日に事業を始めるDX新会社の取り組みから、同じくDXを推進する視点で参考になりそうなポイントを探ってみたい。

» 2020年03月16日 14時50分 公開
[松岡功ITmedia]

企業のDXの取り組みにおける3つの課題とは

 デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みは、今やどの企業にとっても重要な課題になってきている。ただ何を考え、どう動けばよいのか。それぞれに状況が異なることもあって、基本的な取り組み方について頭を悩ませている企業が少なくないようだ。

 そこで本稿は、富士通が2020年4月1日に事業を始めるDX新会社のRidgelinez(リッジラインズ)の取り組みから、同じくDXを推進する視点で参考になりそうなポイントを探ってみる。

 「RidgelinezはDXに関するコンサルティングから最新技術の実装までワンストップでお客さまにサービスを提供する。富士通も強力なパートナーの1社として貢献していきたい」――。

 富士通の時田隆仁社長は、同社が先頃開いたDX事業の取り組みに関する記者会見で、子会社であるRidgelinezと富士通のビジネスにおける関係について、図1を示しながらこう説明した。

Photo 富士通 代表取締役社長の時田隆仁氏
Photo 図1 「Ridgelinez」のエコシステム

 図1はDXを推進する視点でも非常に重要なポイントになる。それは、DXの取り組みにはこうしたエコシステム作りが欠かせないからだ。この点は、また後ほど説明する。

 記者会見では時田氏に続いて、2020年4月1日付でRidgelinezの社長に就任する今井俊哉氏(PwCコンサルティングから移籍)が、同社の取り組みについて説明した。

Photo 2020年4月1日付でRidgelinezの代表取締役社長に就任する今井俊哉氏

 今井氏は企業のDXの取り組みにおける課題について、次の3つを挙げた。

 1つ目は、DXそのものが目的になってしまい、DXによって何をやりたいかという戦略が希薄なこと。2つ目は、デジタルという言葉に引っ張られてしまい、最新技術を採用することに注力してしまいがちなこと。3つ目は、2つ目と逆に最初に描くコンセプトで理想を追い求めすぎ、実装段階で技術的なギャップが生じることだ。

 同氏は3つ目の課題について、特に「実装して早く成果を出すことが大事。さらに言えば、実装しても成果に結び付かないことがよくあるので、繰り返しトライして経験値を高めている企業が、市場競争力を強めていける」と説明した。この見解もDX推進においてチェックすべきポイントだ。

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