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» 2020年04月08日 16時45分 公開

Device as a Service(DaaS)特集:“一斉テレワーク時代”に耐えられるPC運用へ 今「Device as a Service」(DaaS)に注目すべき理由

多くの企業で、従業員の業務を支えるPC。その運用環境が今、急激な変化にさらされている。「Windows 10」への移行はもちろんのこと、テレワークの急速な普及や長期化もその一因だ。企業の情シスに過度の負担をかけず、かつこのような変化に強いPC運用を実現したい。そんなニーズに“サービス”として応えるDevice as a Service(DaaS)を特集する。

[高木理紗,ITmedia]

 今、企業PCの運用環境が急激に変わりつつある。その大きな2つの要因が「Windows 10」への移行とテレワークの急増だ。

 前者については「Windows 7」のサポート終了が予告された時点で予測していた読者が多いだろう。実際に、「Windows 10」移行の準備を進めてきた企業も多いようだ。調査会社IDC Japanによれば、2019年第4四半期の法人向けPCの売上台数は322万台。「Windows 7」のサポート終了の影響を受けた「Windows 10」対応PCへの駆け込み需要で、前年四半期に比べて1.6倍増えていた。

 また、テレワークの導入も、これまでじわじわと拡大しつつあったのは確かだ。総務省が2106社を対象に実施した調査によれば、日本企業のテレワーク導入率は、2012年から2018年にかけて、11.5%から19.5%に伸びた。従業員2000人以上の大企業の4割以上が、2018年時点でテレワークを導入していたという数字もある。(注)また、2020年夏に想定されていた混雑を回避しようと、同省が首都圏の企業と協力して「テレワーク・デイズ」を実施する動きもあった。

(注)出典:令和元年版 テレワークの導入やその効果に関する調査結果(総務省)平成30年通信利用動向調査(総務省)

 ただし、連載「横河レンタ・リースの『Win10運用マスターへの道』」著者でWindows 10搭載PCの運用業務に詳しい松尾太輔氏も指摘しているように、多くの日本企業の間に広まったテレワークは、一般的に「1週間や1日など、労働時間のごく一部を使って」実施する前提だった。いわゆる“一部テレワーク”を導入した企業の中には、十分な環境を整えず、ネットワーク環境やセキュリティ要件などを理由に、業務に必要なデータやツールへのアクセス、業務アプリのアップデートを社内に限定する運用のまま、何とか切り抜けていたケースがあったのではないだろうか。

新型コロナの影響下で「環境の変化に耐えられるPC運用」が課題に

 しかし、2020年の初めから拡大した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、事情はがらりと変わった。ITmediaエンタープライズ編集部では、企業のCOVID-19対策に役立つIT情報を発信しようと「企業IT vs. COVID-19」特集を立ち上げ、セキュリティ情報や調査レポートなどの情報を公開している。中でも読者からの注目が特に高いのはテレワークに役立つITの話題だ。

 今や多くの組織にとって、オフィス以外の場所で通常通りの業務を続け、従業員の生産性を保てるかどうかは、以前よりもずっと重要な問題になりつつある。もちろん、COVID-19が問題になる以前から、全従業員が恒常的にテレワークできる環境を整えていた企業もあるが、それらはあくまで少数派だ。多くの組織では、オフィスから急きょ自宅に作業環境を移した従業員が、対面では会えない取引先や同僚、上司とこれまで通りの作業を進める方法が急に必要になった。

 2020年4月に東京や大阪を含む7都府県に緊急事態宣言が出されたことで、適用地域にある企業は場合によって数週間のテレワークを余儀なくされる状況にあるだろう。

 これから長期テレワークに挑む企業にとって、従業員のPCを安全かつスムーズに管理できるか、PCに突発的な問題が起こってもすぐに対処できるかどうかは、全体のパフォーマンスを左右しかねない問題だ。また、事態が収束し、オフィスに従業員が復帰できる状況になった際もスムーズに業務を続け、再び不測の事態が起こった場合の運用体制を整える必要もある。PCの運用体制には、さまざまな環境の変化に耐えられる強さが求められているといえる。

企業PCを「コト」として提供 Device as a Service(DaaS)とは

 このようなニーズの変化を背景に注目を集めるのが「Device as a Service」(DaaS)だ。DaaSは、これまで企業が自社で購入し、管理してきたPCを、デバイスと機能、設定や運用管理、リプレースなどを含めた「サービス」として提供する。PCやサービスを複数組み合わせた形態のため、PCベンダーやソフトウェアプロバイダーが1社で提供する商品やサービスとは異なり、法人向けPCのライフサイクルに関わる複数の企業が協力して提供する。

 DaaSの定義は、“PCを企業にコトとして提供する”という大きな枠以外、厳密には決まっていない。実際に取材をしていると、その理由は、上述の通りDaaS自体が“単一のサービス”ではなく、一定の期間を通して、PC本体や機能などの“複数の要素が組み合わさった体験”を提供するという点にある。このため、一口にDaaSといっても、提供される「コト」にはさまざまなものが考えられる。例えば、運用管理やアップデート、各従業員向けのリプレースを担うタイプのDaaSの場合、ユーザー企業はPC環境を外部に依存する代わりに、自社の情報システム部門を一切のPC運用から解放できるメリットがある。

 また、企業の規模や状況によって、DaaSのもたらすメリットや注意点も違ってくる。無数のシステムを運用し、従業員向けのPCにも部署によって細かい運用設定が必要な大企業と、従業員が少なくシンプルな構成での運用を好み、情シス担当者を持たないような中小企業では、PC運用に求めるものも異なるだろう。

 DaaS自体の定義があいまいだからこそ、各社が提供するDaaSの内容やメリット、想定される活用法を早めに捉えておくことは、今後のデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けてPC運用を再考したい企業にとって有益だろう。

 ITmedia エンタープライズ編集部は、以前から企業におけるPC運用の課題に注目してきた。実際にDaaSを提供する企業や提供をサポートする複数の企業を取材し、2020年4月を通した特集「企業のPCからDXを Device as a Service(DaaS)の使い方」に掲載する。多くの企業が今までよりもさらに課題の多い状況に置かれる今だからこそ、手元で使うPCの運用戦略の見直しに特集を生かしていただければと考えている。

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