10年後も生き残る企業を分けるもの――HPEのCEOが説く「DXの勘所」Weekly Memo(1/2 ページ)

HPEのCEOが自社イベントで、「企業におけるDX推進の勘所」について語った。キーワードは「インサイト」と「エッジ」だ。ユーザー視点で考察したい。

» 2020年06月29日 11時00分 公開
[松岡功ITmedia]

これから10年は「インサイトで勝負する時代」

 Hewlett Packard Enterprise(HPE)が2020年6月23日(米国時間)にオンライン形式で開催した年次イベント「HPE Discover Virtual Experience」の初日の基調講演で、CEO(最高経営責任者)のアントニオ・ネリ氏が同社のビジネス戦略について語った。その中から印象深かった話を2つ取り上げたい。

Photo カリフォルニアの自宅から基調講演に臨んだHPE CEOのアントニオ・ネリ氏

 まずは、企業におけるデジタル変革(DX)推進についてだ。ネリ氏は次のように語った。

 「企業はこれまで、デジタル化の進展で生成された大量のデータを収集し、処理することに追われていた。しかし、企業がDXを推進して競争力を伸ばしていくためには、そうしたデータからインサイト(洞察)をいかに引き出してビジネスに生かすかが決め手になる。これから10年は、企業にとってまさしく『インサイトで勝負する時代』になるだろう」

 さらに、インサイトを引き出す上で重要なポイントについて、次のように話した。

 「大量のデータからインサイトを引き出すに当たっては、その分析の能力やスピードが、企業競争力の観点から非常に重要なポイントになる。では、どうすればよいか。これからは『エッジコンピューティング』によるデータ分析の能力やスピードが、インサイト勝負を優劣を分けることになる」

 エッジコンピューティングとは、データをクラウドで集中処理せず、データの発生する現場に近いところにある機器や施設で処理することだ。大量のデータをクラウドで処理すると、2つの課題が生じる。ネットワークを介してクラウドまでデータ転送する際に時間がかかってしまう点と、データの転送コストが膨れ上がる点だ。これがエッジコンピューティングだと、データの転送距離が短いため、ほぼリアルタイムで処理結果を現場に戻すことができ、データの転送コストも抑えられるようになる。

 HPEでは今、「エッジからクラウドまでのプラットフォームを『as-a-Service』として提供する戦略」を推進しており、これが同社のDX戦略でもある。

 ネリ氏の上記の話からすると、「これからのDX推進においては、インサイトの活用がビジネス競争力の決め手になる。そのインサイトを素早く引き出すためには、エッジでのデータ分析力を増強する必要がある」というのが、企業へのメッセージである。

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