DX時代のキーワードの1つである「エクスペリエンス(顧客体験)」。これを「マネジメント」するソリューションがにわかに注目されている。両方の言葉を略して「XM」と呼ぶこの分野、果たして何をするのか。
「XM(エクスペリエンスマネジメント)は、CRM(顧客情報管理)やERP(統合基幹業務システム)などに続く新しいソリューションカテゴリーになる」――。
SAPグループのQualtrics日本法人、クアルトリクスのカントリーマネージャーを務める熊代 悟氏は、同社が先頃開いた事業戦略説明会で「XM」のポテンシャルについてこう強調した。
デジタルトランスフォーメーション(DX)時代のキーワードの1つである「エクスペリエンス(X)」と「マネジメント(M)」を組み合わせて略した「XM」は、Qualtricsが提唱する新しいソリューション分野である。
同社によると、XMの目的は「顧客、従業員、ユーザー、パートナー、サプライヤー、投資家など、あらゆる関係者に対して企業や組織が提供する顧客体験(エクスペリエンス)を向上させること」にある。
同社はそのソリューションとして、企業がビジネスする上で重要となる「顧客」「製品」「従業員」「ブランド」といった4つのエクスペリエンスを管理し、改善するソフトウェアをSaaS型サービスで提供。顧客数は現在、グローバルで1万1000社を超えるという。
XMがなぜ求められるようになってきたのか。図1が、その理由を端的に表したものだ。企業が提供するエクスペリエンスについて、同社がグローバルで調査した結果によると、経営者は「自社で最高のエクスペリエンスを提供している」と回答した割合が80%なのに対し、消費者は「最高のエクスペリエンスを受けた」と回答した割合が8%にとどまった。熊代氏はこれを「エクスペリエンス・ギャップ」と呼び、「このギャップを埋めるのが、当社のXMソリューションだ」と説明した。
こうしたギャップは従業員との間にも存在する。例えば自社の福利厚生について、経営者は「従業員は満足している」が71%なのに対し、従業員による「適切である」との回答は48%だったとの調査結果もある。
熊代氏はこうした調査結果を踏まえ「より良いエクスペリエンスを提供する簡単で最も効果的な手法は、積極的にお客さまや従業員の声を収集して分析し、改善アクションを日々の業務として実行することだ」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.