2020年7月に2021年度を開始し、10月に戦略を発表した日本マイクロソフト。吉田社長は会見で「本当のDXを経験してきた」という同社の価値を強調した。同社の顧客に向けたアプローチに変化をもたらしたという「本当のDX」とは何なのか。新たに発表された2つの注力ポイントと併せて分析する。
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最近、日本マイクロソフト社内では、「Transform Japan, Transform Ourselves(日本を変え、私たち自身を変えよう)」という言葉がよく聞かれるという。この言葉にある「変化」とは、何を示しているのか。
そのヒントになるのが、2020年10月7日に開催された2021年度(2020年7月〜2021年6月)の経営方針説明会だ。日本マイクロソフトの吉田仁志社長は「日本マイクロソフトは、ビジネスの成功だけを目指すのではない。日本を変革すること、そして、日本マイクロソフトも変革を続けることで、お客さまのデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援したい」と発言した。
ここからも、2021年度において、「Transform Japan, Transform Ourselves」が、同社の方向性を示すキーワードとなるのは間違いなさそうだ。
その発言とともに、吉田氏が繰り返したのが、「お客さまに寄り添うMicrosoft」と「Microsoft=DX」という2つの言葉だ。これは、吉田氏が2019年10月に日本マイクロソフトの社長に就任して以来、同社の方向性を示す言葉として使い続けてきたものであり、それを改めて強調した格好だ。
「お客さまの成功を支援するために必要なのは、正面に座って、向かい合って話をする姿勢ではなく、肩と肩を並べて、寄り添って、一緒に歩むことである。顧客と同じ目線で、よりよく理解し、よりよくサポートし、トランスフォーメーションを支援する姿勢を、日本マイクロソフトの企業文化として根づかせたい。
顧客やバートナーがDXについて考えるときに、最初にMicrosoftを想起してもらいたい。『DXといえばMicrosoft』『MicrosoftといえばDX』と思ってもらいたい」(吉田氏)
会見で吉田氏は、「DXはもはや新しい言葉ではないが、私にとってはとても新鮮である」と切り出した。
同氏はその理由を「日本マイクロソフト自身が、本当のDXに取り組んできたから」とする。
最近、DXという言葉が頻繁に使われている。だが、吉田氏があえて使った「本当の」という言葉には、実は大きな意味がある。この点は、日本マイクロソフトのDX戦略を理解する上で大きな鍵にもなるところだ。
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