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» 2021年04月22日 19時00分 公開

「GAIA-X」とは? 欧州データ流通基盤との相互接続実現を目指すNTTcomの展望

脱炭素社会の実現やSDGsの早期達成、産業力の維持・向上などあらゆる課題を解決する上で、データ利活用は欠かせない。一方で、企業、国家機密の流出防止、データ主権の保護のため、データの越境流通や利活用を管理、規制する法制度や技術整備が世界各国、地域で進んでいる。その一つが「GAIA-X」だ。

[原田美穂,ITmedia]

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 NTTコミュニケーションズは、2021年4月8日、欧州が域内の国や地域のデータ主権保護を目的に構想を進めるデータ流通基盤「GAIA-X」の中核を構成する技術「IDSコネクター」と相互接続を可能とするプラットフォームのプロトタイプを開発したと発表した。EU圏のデータ流通基盤への、非EU地域からの接続に向けて検証が進む。今後、更に実証実験を進めるため国内のIT企業やメーカー、エンドユーザー企業に広く参加を募る計画だ。

 GAIA-Xは現在欧州で構築が進むデータ流通基盤だ。その実装の核となる「IDSコネクター」は、「International Data Spaces Association」(IDSA)が定める技術コンポーネントで、データの開示や利用権限を制御する仕組みだ。

 NTTコミュニケーションズは、今後国や経済圏ごとにデータ保護基盤の整備が進むとみており、それらの地域との商取引では各データ基盤との相互接続が必須になると予測する。今回のGAIA-Xとの国際間相互接続の成功は、今後の国際データ流通基盤への対応の第一歩と考えられる。同社は「プロトタイプでは、工場の製造ラインデータを非EU圏であるスイスからEU圏内のドイツ、非EU圏の日本へと安全にデータを流通することに成功した」としており、欧州内のデータ流通基盤と非EU圏の日本とが安全にデータ流通を実現したことを意味する。

 今回の取り組みは特にグローバルサプライチェーンを抱える製造業において重要な意味を持つ。サプライチェーン全体を通じたCO2排出量などは今後ますますシビアに評価されると見られており、今回の相互接続は、これらのデータ取り扱いの効率化につながるものと考えられる。

EU「GAIA-X」構想の背景と現在地点、今後の日本企業のリスクは

 企業は持続可能な開発目標の一つである脱炭素社会の実現に向けた貢献が求められる状況にある。対応するには事業活動によって発生したCO2などの情報を詳細に把握する必要がある。このため、自動車産業のように国境を越えたサプライチェーンを抱えるメーカーにとっては国境や経済圏を越えた情報の流通が必要となる。

 データ活用の取り組みが進む一方で、データ流通基盤やデータそのものについては、GAFAに代表される巨大企業が独占したり、国家が介入したりといったリスクへの懸念も高まってきた。もともとデータ主権に対する意識が高い欧州においては、データ活用事業を推進する環境整備が進む一方で、データの主権を保護するため、データの保有者が「明確に契約した相手」にだけデータを開示できる仕組みを求める法規制が進む状況だ。

 NTTコミュニケーションズ 境野 哲氏(ビジネスソリューション本部事業推進部スマートファクトリー推進室担当部長エバンジェリスト)は「従来、GDPR(一般データ保護規則)などの規制はパーソナルデータを対象にしてきたが、昨今はこの規制対象をIoTなどのモノが発するデータに対しても適用しようという動きがある」と、欧州の状況を説明する。

データ主権とデータ保護双方のルール整備が進む(出典:NTTコミュニケーションズ)

 この議論は始まったばかりであることから、欧州だけでなく世界的にも、国際間データ流通についてデファクトの方式が定まっているわけではない。だが「この点で先行するのが、ドイツ、フランスを始めとするEUの取り組みだ」と境野氏は指摘する。

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