ニューノーマル時代に向けた「街づくりのDX」とは ―― 三菱地所の挑戦Weekly Memo(1/2 ページ)

不動産大手の三菱地所がニューノーマル時代に向けた「街づくりのDX」に挑んでいる。果たしてどんな取り組みか。同社の発表会見から探ってみたい。

» 2021年06月28日 11時50分 公開
[松岡功ITmedia]

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 不動産大手の三菱地所が2021年6月23日、「デジタル化の先にある 新しい暮らしと街づくり」を目指す「三菱地所デジタルビジョン」を策定したと発表した。いわば、ニューノーマル時代に向けた「街づくりのDX(デジタルトランスフォーメーション)」に取り組もうというものだ。その内容とともに策定プロセスが興味深かったので、今回はこの話題を取り上げたい。

個人の生活導線上の物理的接点を豊富に保持する強みをDXに生かす

 三菱地所といえば、東京の大手町や丸の内、有楽町エリア(以下、大丸有)や横浜みなとみらいエリアの不動産を長年に渡って開発し運営してきたことで知られるが、他にもさまざまな不動産に関わっていることから、同社には興味深い強みがある。

 それは図1に示すように、「個人の生活導線上の物理的接点を豊富に保持」していることだ。例えば、大丸有エリアの就業者数が約28万人、駅乗車人数が年間約4.2億人といった具合である。

Photo 図1 個人の生活導線上の物理的接点(出典:三菱地所の発表資料)

 この強みが、ひいては三菱地所デジタルビジョンのベースになるが、その前にリアルとデジタルについての同社の捉え方を明確にしておこう。

 会見で説明に立った同社の太田 清氏(DX推進部部長)は図2を挙げ、「これまではリアルにデジタルが一部かかっていた状態だったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い、今や個人にとってはリアルがデジタルの一要素になっている」との見方を示した。従って、三菱地所デジタルビジョンもこの捉え方に基づいて策定されている。

Photo 図2 個人にとってのリアルとデジタルの関係の変化(出典:三菱地所の発表資料)

 では、リアルがデジタルの一要素になることで、個人の活動はどのように変化するのか。

三菱地所が街を舞台にOMOを考えるとどうなるか

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