データ分析ソフトの老舗、SASがまさかのIPOへ “あえて避けてきた”挑戦を後押しした市場の変化Weekly Memo(1/2 ページ)

データ分析ソフトの老舗であるSASが新たな挑戦を表明した。IPOの意向発表、日本法人社長就任会見を通じて、その理由と思惑を探ってみたい。

» 2021年10月04日 11時00分 公開
[松岡功ITmedia]

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 「創業45年の米国本社が設立して36年の日本法人を次のフェーズに導いていきたい」

 データ分析ソリューションを手掛けるSAS Institute(以下、SAS)の日本法人SAS Institute Japan(以下、SAS Japan)の代表取締役社長に2021年9月1日付けで就任したマイケル・キング氏は同月30日、オンラインで会見を開き、今後のビジネス戦略について語った。

Photo SAS Institute Japan代表取締役社長のマイケル・キング氏

 米国ノースカロライナ州で1976年に創業したSASは、「Statistical Analysis System Institute」(和訳:統計分析システム研究所)というフルネームが示す通り、コンピュータで統計分析システムを研究、開発するために8つの大学が成り立ちに関わったデータ分析ソフトウェアのパイオニアであり、老舗ベンダーだ。

 同社のソフトウェアをはじめとしたソリューションは現在、グローバルで2000を超える企業や団体、教育機関が導入している(2021年9月時点)。株式非公開企業ながらも、年間30億ドル規模の売上高を誇り、2020年12月期まで45年連続黒字を果たしていることを明らかにしている。

 そんな同社が2021年7月30日、2024年までに新規株式公開(IPO)を実行するための準備に入る意向を発表した。これまで非公開に強いこだわりを抱いてきたとみられる同社にとっては、まさしく新たな挑戦である。冒頭で紹介したSAS Japanのキング氏による「日本法人を次のフェーズへ」という発言にも、その意図が込められているといえる。

SAS Japan新社長が語った「ビジネス戦略」

 そんなSASの新たな挑戦にフォーカスを当てる前に、キング氏が表明したSAS Japanとしての今後のビジネス戦略の要点を紹介しておこう。図1に掲げた3つがそれである。同氏はそれぞれについて、次のように説明した(図1)。

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