「昭和100年問題」はどうなるか編集部コラム

「動いているシステムはいじるな」とはいえない問題がもうすぐ訪れるようです。

» 2022年08月27日 13時00分 公開
[荒 民雄ITmedia]

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 「動いているシステムはいじるな」は数々の修羅場プロジェクトを乗り越えてきたITのプロたちが作り上げた鉄則の一つとされてきました。しかし、「いじるな」の“呪文”で封印されてきたこれらのシステムにもいよいよ手を加えなければならない時期が来るようです。

2025年問題だけではないレガシーの問題

 経済産業省2018年に発表した「DXレポート」はこれからの日本企業が直面するICTの課題を「2025年問題」として整理し、対策を促すものでした。

 人材面では団塊の世代が後期高齢者に差し掛かって人手不足が本格化する時期であり、同時に企業ITの分野では古いSAP製ERPシステムのサポート期限やPSTNの廃止はじめ、日本企業にIT導入が進んだ時期に導入されたシステムや前提としてきた技術が軒並み保守期限を迎えます。

 SAP ECC 6.0の保守期限は現在のところ2027年まで延長されることが発表されましたが、リプレースを担うエンジニア不足が深刻化しており、プロジェクトに着手できない企業が出ているとの話も聞きます。SAPは顧客の投資を保護する旨をメッセージとして示してきましたから、何らかの措置はあるかもしれませんが、いつまでも旧資産の保守を続ける訳にはいかないでしょう。

 企業ITの基礎を作りあげた世代が退職してしまえば、ブラックボックスはさらに謎だらけになるかもしれません。アプリケーションの挙動から実装を推測することもできるでしょうが、そこまでして古いシステムを使い続けるだけの価値があるか、という問いは当然生じます。

 「動いているのだから触るな」はシステムのお守りをする方にとっては鉄則のルールだったかもしれませんが、現在のレガシーシステムを移行する立場の皆さんは、「動いているけれどもあえて置き換える」という選択を要求されています。

公共、金融システムの「動いているのだからいじるな」の魔法が解ける

 2025年にはもう1つ心配な出来事があります。「昭和100年」問題です。

※本稿は2022年8月16日配信のメールマガジンに掲載したコラムの転載です。購読はこちら


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