OracleとNVIDIAの両CEOが語った協業拡大の目的 OCIのこれからはどうなるかOracle CloudWorld 2022 レポート

Oracleのサフラ・キャッツCEO(最高経営責任者)とNVIDIAのジェンスン・フアンCEOが両社の協業拡大の意図を話した。フアン氏は今後、多くの企業がテクノロジー企業になると話すが、今回の協業拡大がどのように企業をサポートするのか。両者がそれぞれの思いを語った。

» 2022年10月19日 16時00分 公開
[関谷祥平ITmedia]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

 Oracleは2022年10月18日(現地時間)、NVIDIAと複数年に及ぶパートナーシップを締結したと発表した。これにより「Oracle Cloud Infrastructure」(以下、OCI)において、GPUやシステム、ソフトウェアを含む全ての「NVIDIAアクセラレーテッドコンピューティング」を利用できるようになる。

 Oracleのサフラ・キャッツCEOとNVIDIAのジェンスン・フアンCEOがOracle主催のイベント「Oracle CloudWorld 2022」(開催期間:2022年10月17〜20日)の基調講演において協業拡大の狙いと期待を説明した。

c開催中のOracle CloudWorld 2022会場エントランス(筆者撮影)

データとAI(人工知能)が企業に中心に? 企業はOCIでどう対応できるのか

Oracle CEOのサフラ・キャッツ氏(筆者撮影)

 キャッツ氏は基調講演のはじめに「私たちは新型コロナウイルス(COVID-19)を共に乗り越えた。その中で、パートナーや顧客、同僚との間でデジタル環境を持つことが非常に重要だった。大胆に挑戦することが勝利には必要だと分かった」と振り返った。

 またパートナーとの協力や関係強化が重要だと話す同氏は、NVIDIAとの協業拡大について「現在のビジネス環境で長期的な成功を収めるため、組織はこれまで以上に迅速な回答とインサイトを求めている。NVIDIAとの協業拡大で両社の最高レベルの専門知識の提供が可能となり、ヘルスケアや製造、通信、金融などのさまざまな業界のユーザーが直面する多くの課題を克服できるよう支援する」と話す。

 今回の協業拡大を受け、機械学習などの処理を高速化するNVIDIAアクセラレーテッドコンピューティング環境をOCIで利用できるようになる。NVIDIAのAI(人工知能)プラットフォームである「NVIDIA AI Enterprise」はデータ処理やAIモデルのトレーニング、シミュレーション、大規模なデプロイなど、AIワークフローの各ステップに不可欠な処理工程が含まれる。

 NVIDIAアクセラレーテッドコンピューティングを利用すれば、対話型AIやレコメンドシステム、コンピュータビジョンなどのアプリケーションを利用して、ビジネスプロセスを自動化する予測モデルを開発したり、迅速なビジネスインサイト得たりといったメリットを享受できる。

フアンCEOが提唱 「今後の企業の変化と必要な対策」

NVIDIA CEOのジェンスン・フアン氏(筆者撮影)

 「幅広い業界でAIによるイノベーションが加速する」――。そう話すのはジェンスン・フアン氏だ。

 フアン氏は「エネルギー消費量とそれに対する価格が増加している中で、いかにこれらを抑えながら可能性を増やすか」を今後の課題に見据えている。同氏によればこの課題を解決するために、データとAIが「組織の基礎」として拡大する必要があるという。

 フアン氏はまた、データの重要性についても次のように説明した。

 「今後は大きな投資やエネルギーを必要とせずに知識を獲得していく必要がある。組織の成長にはデータが中心にあり、データ処理や分析が組織成長の基礎だ。また、機械学習にどのように取り組むかも今後は組織にとって1つの課題となるだろう。さらにこれらを運用するためには効率的で迅速に動くインフラやエコシステムが必要であり、それを実現するためにOCIを選択した。組織がまず取り組むべきことは、大量のエネルギーを消費することなく、多くのことをできるように方法を見つけることだ。これが組織のコアになる」

 OCIは今後、「A100」や「H100」などを含むNVIDIA GPUを数万個規模で導入する予定だ。これらをOCIの既存のAIクラウド基盤と組み合わせることで、「AIのトレーニングやディープラーニングを大規模に実施するための選択肢を幅広く簡単に手に入れられるようになる」とオラクルは見ている。

 キャッツ氏も協業拡大を受け、「(アウトプットの結果を求めているわれわれは)誰もクリスマスにJavaScript(のプログラムコード)を靴下の中に入れておいてほしいとは思わない。私たち(Oracle)は直接的に人々に何かを与えているわけではないが、私たちのユーザーはOracleを利用して素晴らしい価値を提供している。これが私がOracleにいて本当にうれしいと感じることだ」と話した。

基調講演にて対談する両者(筆者撮影)

(取材協力:日本オラクル)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ