SOMPOがWindows 365でDXを推進 5つの注力領域とは(2/2 ページ)

» 2022年11月22日 08時00分 公開
[大河原克行ITmedia]
前のページへ 1|2       

Windows 365の選定理由とその活用

 RDPの活用として、SOMPOホールディングスは5つを注力領域に掲げる。

 1つ目が、「介護」だ。オペレーションやバイタル、ケアに関するデータを活用し、介護業界の品質の向上を図る。2つ目の「防災・減災」では、保険契約や保険金、災害データなどを活用して災害予測を行い、被害範囲の極小化を目指す。3つ目には「モビリティ」が挙がり、自動運転OSや事故・保険金データを基に、移動弱者へのサービスを最適化する。4つ目が「農業」で、農業保険から得られた土壌や天候、収穫量などのデータを基に、農業事業者の業務効率化や収益改善を実現する。5つ目は「ヘルシーエージング」で、生命保険やヘルスケア関連のデータを通じて、健康寿命の延伸を提案する。

5つの注力領域と今後の戦略(出典:SOMPOホールディングス提供資料)

 介護領域を例に挙げると、同社はRDPによる介護分野のプロジェクトとして、介護事業から得られる10万人分のデータを基に介護オペレーションの改善や最適化が可能なソリューションを開発する。介護事業者にサブスクリプション型のサービスを提供し、人材不足や生産性向上といった介護業界の課題を解決する狙いがある。同社は現在、自社施設などで効果を実証している。

介護とRDA(出典:SOMPOホールディングス提供資料)

 これらを事業で中核的役割を担うのが同社のデジタル・データ戦略部だ。同組織はSOMPOホールディングス全体のデジタル戦略を担う部門であり、社内のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する部門と、データを活用して社会貢献を行う部門で構成される。社内では「SOMPO Digital Lab」とも呼ばれる。

 デジタル・データ戦略部は、RDPに関連するプロジェクトで使う「開発向け端末」としてWindows 365を採用した。

 SOMPOホールディングスの岡部勇一氏(デジタル・データ戦略部 課長代理)は、「RDPのブロジェクトでは、ユーザーの大切なデータを預かり、安全に活用してバリューを突き詰めていく必要がある。一方で社内には、RDPプロジェクトに活用できる開発環境やインフラがなかった。高いセキュリティレベルを必要とするプロジェクトにセキュリティレベルを合わせると既存の業務に支障が出る可能性が高いと考え、プロジェクトに合った端末を用意する必要があった。そこで着目したのがWindows 365だ」と経緯を話す。

 Windows 365は、クラウドの仮想マシンにある「Windows 11」を利用できるため、通常利用しているPCなどからアクセスし、クラウドPCとして設定しておいた環境で利用可能だ。

 「開発環境に最適な端末を新たに導入する場合、それに合わせた高いセキュリティレベルが求められ、別途でPCを新調する必要があった。Windows 365では、通常の業務で利用している端末で物理環境とクラウド環境を利用できる。さらに、IDやパスワード、ライセンスがあれば数時間で使えるようになる。社内でも新規にPCを配布する必要がない。また、PCをキッティングする必要がなく運用の効率化も実現できる」(岡部氏)

 クラウドでデスクトップやアプリの仮想化サービスを提供する「Azure Virtual Desktop」などは、ホストとなるVM(Virtual Machine:仮想機械)のメンテナンス作業が必須で、場合によってはVMの再起動なども必要となるが、Windows 365ではこれらの作業がない。

 岡部氏はクラウドPCを導入した最大のメリットに、「短期間での導入と運用」「運用保守業務の効率化」を挙げる。

 「検討から導入までの期間が3カ月以内だった。かなり短い時間で用意できたと考えている。プロビジョニングやシッピング、キッティングといった課題を解決できた」

 同氏はWindows 365の特徴に、「『MacOS』からクラウドPCへのアクセスが可能であること」「パッケージ化されていることで運用コストが把握しやすいこと」「Microsoft側でクラウドPCの基本環境を整備しているため、それに基づいたサービスを高い親和性で運用できること」を挙げた。

 「Windows 365であれば、プロジェクトの特性に応じたセキュリティ環境をそれぞれに構築し、物理的なPCに依存しない環境を実現できると考える。BYOD(注1)の先の世界を実現することが理想形だ」

左から松本匡史氏と岡部勇一氏

注1:社員が個人保有の携帯用機器を職場に持ち込み、それを業務に使用すること

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ