日本代表とスペイン代表が100万回対戦したら何勝何敗?編集部コラム

勝負の世界は簡単には語れませんが、それでもデータを知りたいと思うのが人の常のようです。

» 2022年11月29日 13時30分 公開
[荒 民雄ITmedia]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

 「2022 FIFAワールドカップ カタール大会」が始まりました。国際的なスポーツイベントは注目度が高いことから、Tech系ベンダーによる各国チームのサポートも注目を集めています。

 過去数回のサッカーワールドカップの中継映像では、各選手の移動範囲や全速力で走った回数(スプリント回数)、ボールタッチの回数、シュート数などがデータとして瞬時に集計されていたことを覚えている方もいらっしゃるでしょう。チームによってはこれに加えて練習中の心拍数や乳酸値の変化なども計測しています。2018年には既に下記のような記事も紹介していました。

 サッカーチームにおけるデータドリブンなチーム運営はナショナルチームだけでなく、国内リーグやジュニアリーグにも広がりを見せています。

※本稿は2022年11月22日配信のメールマガジンに掲載したコラムの転載です。登録はこちらからお申し込みください。


日本がグループリーグを突破する確率は? 決勝の対戦カードの分析結果も

 各国代表の対戦カードについても、勝敗の確率を各社が独自の予測モデルを基に発表しており、シミュレーターを公開する企業も複数あるようです。

 JX通信社は2022年11月18日、優勝の確率が最も高い国はブラジルだったと発表しました。独自の数理モデルに基づき、全ての試合結果を1万回シミュレーションを実行した結果、12.18%の確率で優勝するとの結果が出たといいます。次いで確率が高かったのはアルゼンチンで10.86%でした(いずれも本稿執筆時点の数値)。

JX通信社が公開した32カ国の各ラウンド進出確立(本稿執筆時点)

 本稿執筆時点においては、日本が優勝する確率は0.35%と出ています。同じシミュレーションにおいて、日本がグループリーグを突破する確率は33.91%です。同社はこのシミュレーションの結果を「2022サッカーW杯 勝敗確率&優勝国 AIシミュレータ」として公開しています。

 メンバー個々人のクラブチームでのパフォーマンスやスタメンかどうか、気温や湿度とスプリント能力の関係、メンバー間の相性など、シミュレーション実行に当たってのパラメーターは無限に考えられそうです。同社が構築した数理モデルの場合は「過去のワールドカップにおける対戦成績と、各国代表チームの『能力に関する情報』と直近の国際試合での対戦成績」を基にしているとのことです。

 ニールセングループ傘下のグレースノート(Gracenote)も同様の予測を発表しています。同社の当初の分析によれば、「最も勝利を収める可能性が高いのはブラジルとアルゼンチンの2チーム」でした。そして20%の確率でブラジルが優勝すると解いていました。グループリーグ突破確率についても算出しており、日本は39%でした。そして20%の確率でブラジルが優勝する解いています。グループリーグ突破確率についても算出しており、日本は39%となっています(いずれも本稿執筆時点の数値)。つまり確率順で並べると、米国や韓国と同様にグループリーグ突破は難しいとの予測です。

グレースノートが公表したグループリーグ突破可能性の高い国ランキング(出典:グレースノート発表資料、数値は本稿執筆時点)

 こちらも「独自のサッカーランキングシステム」を使い、「本大会全ての試合についてシミュレーションを実施した」としています。同社によると、2018年にワールドカップ大会での勝敗確率を推定する際に使われたレートを基に、100万回のシミュレーションを実施して推定値を導き出したとしています。グレースノートは大会期間中も試合結果の最新情報を基に予測をアップデートしており、その内容を同社の特設サイトで公開しています。

関連リンク


 本稿のタイトルにした「日本代表とスペイン代表が100万回対戦したら、何勝何負か」の問いについては、JX通信社の「シミュレータ」によると、本稿執筆時点では21.0%となっていますから「21万勝79万負」ということになります。

 ともあれ、これらは確率のお話です。

 私たちは既に幾つかの「番狂わせ」を目撃しています。先のJX通信社の「シミュレータ」によれば「日本が初戦で勝利する確率は26.1%」しかありませんでした。

 一発勝負の決勝トーナメントにおいて「100万回試合をしたら、どちらがより多く勝利するか」という情報はあくまでも参考値でしかありません。「奇跡」もあれば時には「神の手」なんていう出来事も起こり得るのが、人間が試合するゲームの面白いところです。試合結果が奇跡的な確率を引き当てたかどうかを把握したり、予測を見ながら「番狂わせ」の試合が発生して予測モデルがひっくり返る瞬間を目撃したりするのも楽しいだろうと思います。全てのチームが一度きりの試合を悔いなく戦うことを願います。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ