2023年のIT需要はどうなるか――富士通とNECに聞いてみたWeekly Memo(1/2 ページ)

経済の見通しが不透明な中、2023年のIT需要の動きはどうなるか。富士通とNECのCFOに最新の受注状況を踏まえて聞いてみた。

» 2023年02月06日 15時00分 公開
[松岡功ITmedia]

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 2023年のIT需要はどう動くか。富士通とNECのITサービス大手2社は、2022年度(2023年3月期)第3四半期(2022年10〜12月)の決算を相次いで発表した。今後の需要動向の先行指標となる受注状況に着目するとともに、2023年のIT需要の動きについて、発表会見で両社のCFO(最高財務責任者)に聞いてみた。

富士通のCFOによるIT需要の見通しは

 富士通が2023年1月31日に発表した第3四半期の国内受注状況は、全体で前年度同期比96%、第1四半期からの9カ月累計で同99%と微減にとどまった。

 ただ、これは「ネットワーク」分野での一時的な動きが影響したもので、同社のITサービスを指す「SI/サービス」は9カ月累計で同105%と堅調に推移している。

富士通の磯部武司氏(取締役執行役 SEVP CFO)

 こうした受注状況の全体の動きについて、同社の磯部武司氏(取締役執行役 SEVP CFO)はオンラインでの発表会見で、「第3四半期については金融や官公庁向けの大型商談が少なかったが、商談のパイプラインは着実に積み上がっている。第4四半期(2023年1〜3月)は大型商談も控えており、全体および『SI/サービス』として上昇傾向にあると捉えている」との見方を示した。

 事業分野別では、エンタープライズビジネス(製造業などの産業、流通、小売)が第3四半期で前年度同期比108%(9カ月累計で同108%)、ファイナンスビジネス(金融・保険)が同89%(同99%)、Japanリージョン(官公庁や社会基盤などのミッションクリティティカル)が同90%(同101%)、富士通Japan(自治体、ヘルスケア、文教、中堅民需)が同101%(同100%)となった。ネットワークは2021年度の大型受注の反動で減少が続いた(表1)。

表1 富士通の各事業分野における最新受注状況(出典:富士通の決算資料)

 磯部氏は事業分野別の受注状況について、次のように説明した。

 「エンタープライズビジネスは自動車をはじめとした製造業を中心にDX(デジタルトランスフォーメーション)やモダナイゼーションに対する投資意欲が強く、引き続き力強いデマンド(需要)が続いている。ファイナンスビジネスは2021年度第3四半期に大型受注があったことで今回の結果は減少した形になっているが、第4四半期には大型商談も控えておりデマンドは拡大基調だ。Japanリージョンも第4四半期に大型商談を控えており、拡大基調だ。富士通Japanのうち、自治体向けはシステム標準化への対応などで堅調に推移、ヘルスケアもクラウドによる電子カルテの商談が好調に推移した。一方、文教と中堅民需は動きが鈍い状況が続いている」

 2023年のIT需要の見通しを聞いた筆者の質問に対しては「2023年のIT需要は、業種にかかわらず、DXを中心としたデマンドが拡大していくと見ている。ここにきて、日本でも多くの企業がDXに本格的に取り組み始めたと実感している」と答えた。

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