ビジネスはもちろん、私たちの生活の中でもAI(人工知能)の存在感が強まっています。MicrosoftはAIを使ってどのようなサービスを提供しているのでしょうか。
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リクルートワークス研究所が2023年3月28日に発表した「未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」を読み、改めて新たな働き方を創造する重要性を認識しました。「2040年の供給不足の規模はおよそ現在の近畿地方の就業者数が丸ごと消滅するレベル」「2040年には東京都以外の全道府県で労働供給不足」などのフレーズは特に衝撃でした。
このレポートが「労働供給制約」と表現する問題は単なる人手不足論や後継者不足、技能承継難、デジタル人材不足といった産業および企業視点からの問題ではなく、「日本社会は生活を維持するために必要な労働力を供給できなくなるのではないか」という危機意識に基づいて示されているものです。
日本は人口減少や高齢化という社会課題を抱え、ITやデジタル人材に限らずあらゆる仕事で人が足りません。このような状況でも持続可能で豊かな社会を実現するためには何が必要なのでしょうか。
本連載ではこれまで、Microsoftのビジネスアプリケーション領域(CRM/ERP、ローコードソリューション)の可能性やDX(Developer Experience)への取り組みを解説してきました。第5回となる本稿は、Microsoftのビジネスアプリケーション領域のAIについて解説します。
本連載は12回にわたって、Microsoftのビジネスアプリケーションに関する情報を発信し、製品やサービス、学習ツールだけでなく、導入ベンダーやその事例、コミュニティーの活動にも触れていきます。
約20年にわたって日本を含む31か国でMicrosoft社製ビジネスアプリケーションの導入・開発・コンサルティングに従事。2022年11月よりシンガポール企業『Technosoft (SEA) Pte. Ltd.』のCOOに着任。
Microsoft Regional Director
Microsoft MVP for Business Applications
Blog: DX 365 Life - マイクロソフトのBizAppsを活用し、企業のDX実現に向けて国内外を奔走する室長Blog
これまでAIに使える計算機資源や扱えるデータ量には制限があったことから、AIサービスの成長には「アルゴリズムの洗練」が不可欠でした。近年はクラウドで大量の計算機資源を使うことができ(図1のディープラーニングが流行した頃から)、アルゴリズムは旧来製でも「とにかく大量のデータを取り入れて精度を上げる」というパラダイムが生まれました。
このような変化の結果、日々の暮らしの中でもAIの活用を目にする機会が増えました。現在、注目を浴びているサービスは「ジェネレーティブAI」と呼ばれ、学習ソースを基にしながら独自にコンテンツを生成する学習能力を備えています。
スポーツビジネスにおけるAI活用も進んでいます。「販売状況に応じて変動するチケット価格管理」(ダイナミックプライシング)や「スタジアムの混雑状況とその回避策」「選手の特性や傾向、当日のコンディション管理」「相手チームの分析や戦術遂行シミュレーション」「微妙な判定検証、審判員の削減」などは精度も高まっていると耳にします。
筆者を含め「Microsoft 365」のユーザーは可視化されたデータから気付きを得ている方も多いでしょう。AIからインサイトを得て残業抑制やスケジュールの空き時間の有効活用といった生産性向上のアドバイスをしてくれる「Microsoft Office」の業務領域AIは、私たちにとって最も身近なAIといえるかもしれません。
「Microsoft Bing」で「Microsoft AI」を検索すると、以下の図3にある結果を得られました。
ChatGPTについて聞くと、あまりの模範解答ぶりに正直驚きました。少し手を加えれば即利用可能な回答を生成しています。
ここで「業務ユーザー/市民開発者」「開発者/データサイエンティスト」が活用できるAI機能を整理します。
話題のOpenAIは、「Azure Cognitive Service」のサービスとして「カスタマイズ可能なAI」と定義されています。図6に示したJack Rowbotham氏のLinkedIn投稿を見ると分かるように、この数カ月間でMicrosoftのAIに関するニュースはとても多く、「時代の変わり目に立ち会えるかもしれない」という期待があります。
OpenAIは人工知能の研究および人工知能のオープンソース化を推進する非営利団体です。2015年の設立以降、当時のメンバーであったマスク氏は同団体を離れ、サム・アルトマン氏がCEO(最高経営責任者)として活動してきました。OpenAIが提供する機能には「GPT-3」「GPT 3.5」(ChatGPT)、「GPT-4」「Codex」「DALL・E」「Whisper」があり、GPT-3を含む言語生成AIは「定量的アプローチ」で「人間の言語能力」とは根本的に異なります。
MicrosoftはOpenAIへ数年にわたる数十億ドル規模の投資をアナウンスしており、OpenAIの独占的なクラウドプロバイダーの位置を確保しました。これにより「Azure OpenAI Service」を活用してOpenAIのGPT-3やCodex、DALL-Eを「Microsoft Azure」(以下、Azure)のマネージドサービスとして利用可能になりました。
なぜOpenAIはMicrosoftと独占契約を選択したのか――。筆者はこの答えがずっと気になっていました。『The Wall Street Journal』にアルトマン氏の記事があるので、興味のある方はご確認ください。
Azure Open AI Serviceでは膨大なデータとハイパーパラメーターでチューニングされたAIモデルを活用することで、イノベーティブなAI活用を前提としたビジネスプロセスをスピーディーに構築できます。また、「悪意のあるAI」の利用を検出してそれを軽減するために「責任あるAI」(注1)を適用しています。加えてロールベースのアクセス制御(RBAC)とプライベートネットワークによるエンタープライズレベルのセキュリティを確保できたことで、多くのユーザーに使ってもらえる準備が整いつつある状況です。
注1:「プライバシーとセキュリティ」「包括性」「アカウンタビリティ(説明責任)」「透明性」「公平性」「信頼性と安全性」から成り立つ
筆者の周りの開発者の多くは、「GitHub Copilot」におけるシステム開発時のAI活用に関してリリース前は懐疑的でした。しかし実際に使ってみた方からは「もうコードを書かなくていい」「実際に使えるレベルになっている」「開発者が不要になる世界が現実になるかもしれない」といったポジティブかつ驚きのフィードバックが出ています。
「Copilot」は副操縦士という意味を持ちます。Copilotを搭載したMicrosoft製品群に関しては、筆者のBlogからも確認できます。Copilotはあらゆる業種のビジネスプロセスを変革するゲームチェンジャーになり得ます。
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