ITベンダーとユーザーの「共創」が重視されるDX。大手ベンダーの多くはその推進施設も用意している。そうした中で、魅力的なDX共創施設とはどうあるべきか。ネットワンシステムズの取り組みから探ってみたい。
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「netone valleyは完成形を定義していない。これで完成というのではなく、お客さまやパートナーの皆さんとの共創によってイノベーションを起こし続けられるように進化させていきたい」
こう語るのは、ネットワンシステムズ(以下、ネットワン)常務執行役員CTO(最高技術責任者)の篠浦文彦氏だ。同社が2023年5月に開設した「イノベーションセンター(通称:netone valley)」(注1)のメディアへの初公開を兼ねて、同年12月5日に開いた事業戦略説明会でのひとコマである。
netone valleyは、ネットワークインテグレーター大手の同社がDX(デジタルトランスフォーメーション)事業を推進するため、顧客や協業パートナーなどと「共創」を図る場として設けた戦略的な施設だ。こうした場所は多くのITベンダーが設けているが、篠浦氏の冒頭の発言はそのあるべき姿を示しているのではないか。そう感じたので、今回はnetone valleyの内容を見ていきながら、DX共創施設のあり方について考察したい。
篠浦氏はまず、ネットワンの事業戦略におけるnetone valleyの位置付けについて次のように説明した(図1)。
「当社はこれまで『ネットワークが持つ可能性』を信じて、『つなぐ』『むすぶ』『かわる』をキーワードに、ネットワーク市場の変化に応じて競争優位性を発揮してきた。そして、これからは『豊かな未来を創造』する市場をリードしたい。その中核となるのがnetone valleyだ」
netone valleyは、ネットワン自身のデジタルプラットフォームをはじめとしたさまざまなソリューションについて柔軟に適用できるように整備している。「DXにおけるエコシステムのハブの役目を果たしたい」(篠浦氏、図2)
こうした位置付けの下、netone valleyでどのようなことができるのかについて、同社 執行役員 ビジネス開発本部長の藤田雄介は活用例として次の4つを挙げた。
netone valleyでまず目に飛び込んでくるのは、来訪者を共創空間に導く「VALLEY」と呼ばれるフロントだ。これがnetone valleyという通称の由来にもなっている。また、「INFORMATION HUB」と呼ばれるスペースは、さまざまな書籍から情報を収集し、個人の感性と探求力を磨くことによってイノベーション創出への可能性を広げる場して作られている。
さらに、netone valleyで生まれた新たなサービスなどを体験できる「INNOVATION SHOWCASE」でのデモを通じて、アイデア創出へのきっかけにつなげたい考えだ。現在、5つのテーマを設定して取り組んでいるという(図3)。
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