“百花繚乱”のAIエージェント市場において、NTT Comが業務、業界別のソリューションを打ち出した。NTTデータも既にAIエージェント市場に参入しているが、NTTグループとしてこの分野に総力を結集する態勢になり得るのだろうか。
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人に代わってさまざまな業務を自律的にこなす「AIエージェント」は、業務アプリケーションベンダーをはじめ、ITサービスベンダー、ハイパースケーラー、コンサルティング会社などが、それぞれのスタンスでソリューションを打ち出しており、まさに“百花繚乱”になりつつある。
こうした中、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)が2025年6月19日、業務、業界別のAIエージェントソリューションを提供開始すると発表した。NTT Comは近年はITソリューション事業も手掛けてきたが、もともとNTTグループの長距離通信会社だ。その意味では、通信会社もAIエージェント市場に本格参入したとも受け取れる。
さらに、このほどのNTTグループの大再編により、NTT Comは7月1日から「NTTドコモビジネス」としてNTTドコモの法人事業を担う形となる。これにより、今まで以上にNTTグループの事業戦略として展開されるようになるというのが、筆者の見立てだ。
こうした動きが、AIエージェントを巡る市場競争にどのような影響をもたらすのか。本稿ではその点に注目した。
NTT Comが今回提供を開始したAIエージェントの基になっているのは、NTTが開発して2024年3月に商用サービスを開始した生成AI向けLLM(大規模言語モデル)の「tsuzumi」(鼓)だ。同社の福田 亜希子氏(執行役員ビジネスソリューション本部スマートワールドビジネス部 部長)は発表同日に開いた会見で、「tsuzumiを活用したソリューションについて、さまざまな業界のお客さまから約650件の引き合いがあった」と述べ、こうした動きが今回のAIエージェント事業への参入につながったことを説明した。
福田氏はAIエージェントについて、「AIはこれまでツールでしかなかったが、AIエージェントはまさしくビジネスパートナーになる。情報検索や業務自動化、データ分析、文書作成、コミュニケーションといった5つの業務カテゴリーにおけるマルチエージェントによって、われわれの時間とスキルを拡張してくれるようになる」との見方を示した(図1)。
そこで、同社では今回、5つの業務カテゴリーにおいて20種類のAIエージェントソリューションを提供開始した。その内容は、図2の通りだ。
そして、20種類のAIエージェントからそれぞれの業界向けに必要なものを組み合わせたソリューションを展開する構えだ(図3)。
これらのAIエージェントソリューションの展開は、NTT Comが先頃、資本業務提携を発表したAIエキスパート企業のエクサウィザーズとの協業によるもので、2026年には200種類に拡大したい考えだ(図4)。
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