AWSジャパンが日本のロボット産業促進を図る「フィジカルAI開発支援プログラム」を始動した。同プログラムは国内のAI開発に何をもたらすのか。
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アマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWSジャパン)は2026年1月27日、ロボット基盤モデルなどを開発する国内企業・団体を対象とした「フィジカルAI開発支援プログラム」の応募受付を開始した。プログラム全体で最大600万ドル規模のAWSクレジットを提供する他、フィジカルAI領域の専門家による技術支援やビジネスマッチング支援を実施する。応募締め切りは2026年2月13日だ。
ロボットや自動運転車などの機械が現実世界を認識、理解して行動できるようにする技術「フィジカルAI」が注目を集めている。フィジカルAIの実現には、視覚と言語を理解する「Vision Language Model」(VLM)や、それらに加えて行動も理解する「Vision-Language-Action」(VLA)モデルなどの開発、エッジデバイスの制御、現実世界のデータ収集などが必要だ。「Amazon Web Services」(AWS)はこれらのプロセスを支えるサービスを複数提供している。
AWSジャパンはこれまで「AWS LLM開発支援プログラム」や「生成AI実用化推進プログラム」などを通じて、国内の生成AI開発を支援してきた。今回のフィジカルAI開発支援プログラムは、新規の施策であると同時に、これらの取り組みの延長線上に位置付けられる。また、Amazon.comは世界300以上の施設で約100万台のロボットを稼働させている、大規模なユーザーでもある。それによって蓄えた知見を今回のプログラムでも生かすという。
同プログラムは、日本に法人または拠点を持つ企業・団体を対象とし、以下の4つの支援を提供する。
対象となる開発領域は、VLAモデルに加え、VLMや世界モデルなどの周辺技術も含まれる。
『AWS ブログ』での発表では、開発支援期間は2026年3月初旬〜6月となっているが、同プログラムを担当するAWSジャパンの針原佳貴氏(シニア 生成AI・量子 スタートアップ ソリューションアーキテクト)によると、支援先企業の状況を見ながら約半年間の支援を検討しているという。2026年4月以降には、経済産業省の生成AI開発支援プログラム「GENIAC」への応募も支援する。2026年7月中に採択企業による成果発表会を開催する予定だ。
採択数は最大で数十社を予定しており、技術的観点やビジネス的観点、実現性、社会へのインパクトなどを総合的に評価して選考する。スタートアップから大企業、大学、研究機関まで幅広く応募可能だ。既にVLAモデル開発を進めている企業・団体も対象となる。
米スタンフォード大学が公表している「AI Vibrancy Rankings」(AI活力ランキング)で日本は9位となるなど、AI開発において米国や中国、インド、韓国などから差を付けられている状態だ。
フィジカルAIは、自動車や産業用ロボットなど日本が得意とする産業分野の高度化を実現する可能性を秘めている。今回のプログラムについてAWSジャパンの白幡晶彦氏(代表執行役員社長)は「これまでの実用化推進プログラムやGENIACでの支援で培ったノウハウを活用し、世界的にも大きな影響力を持つ日本のロボット産業の強みを生かすことにもつながる支援だ」と意気込む。
内閣府の人工知能戦略本部において、高市早苗首相は「当面、1兆円超をAI関連施策の推進に投資」と表明している。AWSジャパンを含む民間の投資も結集し、日本におけるAIの社会実装が進むことを期待したい。
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