ソニーは5月27日から28日にかけて、都内で「Professional & Business Solutions 2004」を開催した。同展示会では、同社の放送業務用機器や業務用機器を使った最新のソリューションが示された。
過去のイメージを払拭するビデオ会議ソリューション
このうち、会場の中央付近では、ビデオ会議システムのソリューションが示されていた。
もし、ビデオ会議システムについて、1対1で画面に映し出された荒い画質の相手と会話するイメージを持たれているとしたら、すぐにでもそのイメージは捨て去るべきだ。それほどビデオ会議システムは一昔前のそれと比べて、大きく進化している。
デモでは複数拠点(そのうち1カ所は上海)を結んだビデオ会議が行われた。画像はまったく気にならない画質で、ホワイトボードのデータ共有などもスムーズに行われていた
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まず、「複数対複数」というのはもはや当然になりつつあり、現在では、最大10地点の同時会議を可能としている。また、手元にあるPCの画面や、ホワイトボードに書かれたものを他者に共有させるといった機能も当たり前のように実装されている。
接続は、相手のIPアドレスまたは電話番号(ISDN使用時)を入力するだけでよい。この部分も、あらかじめメモリースティックなどにデータを保存しておけば、それを読み込ませることで簡単に接続可能となる。
そして、画質や音質についても、ビデオ符号化方式にH.264、音声符号化方式にMPEG 4 AACをはじめとする複数の符号化方式を搭載しており、自動的に最適な方式で通信を行うようになっている。ちなみに、伝送レートは、IP接続時で最大2Mbps、ISDN接続時は最大768kbpsとなっている。
こうした機能を搭載したことで、高い実用レベルとなっており、今後、改めてその価値が見直されることになりそうだ。
FeliCaを使ったソリューションの一部は円熟期に
会場には先進的なソリューションだけでなく、成熟期を迎えたソリューションも展示されていた。インターネットタイムレコーダー(ITR)やCRYPといったソリューションがそれである。これらはいずれもソニーの法人向けブロードバンドネットワークサービス「bit-drive」のメニューにすでに加えられている。
この2つのソリューションに共通するのは、非接触型のICカード技術「FeliCa」である。例えば、ITRでは、カードリーダーにFeliCaカードをかざすだけで出勤・退勤の管理を可能にするASP型の勤怠管理ソリューションである。もちろん勤怠管理の部分もWebブラウザ上で行える。
ITRの画面、カードをリーダーにかざしてからの反応時間は2秒前後で、ストレスなく勤怠処理が行える。
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こうした例は大学など多くの人間が一同に集まる場所で効果的である。想像してみてほしい。「FeliCa」のような非接触型のICカード技術が組み込まれた学生証であれば、教室の入り口にでもそれを読み取る機器さえ置いておけば、大学の講義で、教授はわざわざ出席をとる必要もなく、講義に専念できる。研究室に戻れば、Web上で出席状況をすぐに把握できるのだ。
FeliCaを使った出勤管理のソリューションは、名城大学や王子製紙などですでに採用されているが、ITRのように、その管理部分までアウトソース可能なASP型のソリューションであれば、コスト面でのメリットも大きい。
「CRYP」のクライアントソフトから接続したところ、接続先を選択してボタンを押すだけでセキュアなリモートアクセスが可能となる
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「CRYP」は安全なリモートアクセスを可能にするソリューションだ。同ソリューションでは、FeliCaカード内の電子証明書をリーダーに読み取らせることで、bit-driveのデータセンター内に設置された認証サーバへの問い合わせ、IPSec VPNの確立といった一連の作業が簡単に行える。
こちらも、RADIUSサーバの運用や認証局の運用をアウトソースできるため、初期投資だけでなく、ランニングコストでも大きな削減効果が見込める。具体的な導入事例としては、日本陸運産業が挙げられる。
いずれのソリューションも、ネットワークをインフラとしたものであるが、一昔前と比べると、その運用や操作性は非常に簡便なもの、あるいはアウトソースすることで気にしなくてもよいレベルとなっており、普及への準備は整ってきたといえよう。
[ITmedia]
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