“攻めのSOX法対応”を実現するためには?IT担当者のための内部統制ガイド(1)(3/3 ページ)

» 2006年03月30日 12時00分 公開
[鍋野 敬一郎,@IT]
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IT適用における3つの領域

 このように、IT活用のポイントには、システムのインフラや開発環境といった全般に関するもの、業務を遂行するためのアプリケーションに関するもの、そして「内部統制」に関するユーザーレベルを向上するもの、の3点を挙げることができます。

図4:IT適用における3つの領域

 IT活用を見直すための具体的な手段ですが、まずは現状把握から始める必要があります。ここで注意しなければならないのは、見直す対象が本社を中心とした連結対象子会社を含むグループ企業すべてであることです。

 内部統制対応しなければならない企業は、先にも述べたとおり上場企業など約4000社ですが、各社には当然連結対象の子会社が存在します。連結対象子会社の数は、大手商社などだと200社以上、少ない企業でも10社程度はあるといわれています。概算ですがその総数は実に5万社にもなるといわれています。

 こうしたことを踏まえて、できるだけ客観的かつ効率的に現状のIT導入状況を把握します。情報収集は、企業システムのソリューションストラクチャーに沿って、整理分類すると比較的分かりやすく管理できます。本社や本社に準じる子会社には多数のシステムが混在しており、この乱立するシステムを整理、統合することがポイントとなります。また小規模な子会社はシステム化レベルも低く、個々に対処するための費用も要員も期待できませんので一括で束ねてトップダウンでシステム化を見直すことがポイントとなります。

図5:内部統制をITの視点で整理するポイント


 次回は、内部統制対応ITプロジェクトの進め方と、紙文化をITで見直すコツについてご紹介いたします。

著者紹介

鍋野 敬一郎(なべの けいいちろう)

1989年に同志社大学工学部化学工学科(生化学研究室)卒業後、米国大手総合化学会社デュポン社の日本法人へ入社。農業用製品事業部に所属し事業部のマーケティング・広報を担当。

1998年にERPベンダ最大手SAP社の日本法人SAPジャパンに転職し、マーケティング担当、広報担当、プリセールスコンサルタントを経験。アライアンス本部にて担当マネージャーとしてmySAP All-in-Oneソリューション(ERP導入テンプレート)を立ち上げた。

2003年にSAPジャパンを退社し、現在はコンサルタントとしてERPの 導入支援・提案活動に従事する。またERPやBPM、CPMなどのマーケティングやセミナー活動を行い、最近ではテクノブレーン株式会社が主催するキャリアラボラトリーでIT関連のセミナー講師も務める。


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