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» 2007年01月30日 12時00分 公開

CMSビジネス活用術(6):“Webサービス・プラットフォーム”に進化するCMS (2/2)

[デジタルアセット研究会,@IT]
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フォードの「表のMyFordと裏の14システムの連携」

 米国のフォード・モーターは1つのCMSを標準ツールとして、フォード車のオーナーに向けたポータルサイト「MyFord」を構築した。

【参考リンク】
▼MyFord

 「MyFord」は17ケタからなるVIN(Veihicle Identification Number)で車両とオーナーを結び付け、各種サービスを提供して顧客満足の向上を図るとともに、アップセル(買い替えもフォード車に)の実現を目指すCRMサイトだ。

 「MyFord」をコインの表とすると、コインの裏では「MyFord」を実現するために、14以上の各種ビジネスシステムが連携している。

Webマーケティングで行われるPDCAサイクル 図1 MyFordと14のビジネスシステムとの統合

 各システムはWebサービスでCMSと連携し、「MyFord」サイトとしてフォード社オーナーのWebブラウザに表示される。CMSはここでは完全に“Webサービス・プラットフォーム”に進化している。つまり、CMSは単にWebサイトの更新を自動化するツールというだけではなく、「次の買い替え時にも商品を選んでもらえるようにする」という明確なビジネス目的を実現するための戦略の中で、「Webサービスによる各種ビジネスシステムの連携」という戦術の中核に据えられているのである。

CMS普及の「3つのフェイズ」

 日本においてCMSは、図2のような3つのフェイズで市場・浸透が進んできた。

フェイズ1
静的CMS


フェイズ2
動的CMS
「静的CMS」
+「動的CMS」
+ワンソースマルチユース
フェイズ3
Webサービス
プラットフォーム CMS
「動的CMS」
+基幹業務(ERPなど)と
 Webサービスの連動
図2 CMS普及の3つのフェイズ


フェイズ1:2004〜2005年度フェイズ1:2004〜2005年度

 2004年はCMS元年と呼ばれ、日本市場にCMSが40種ほど出現した。そのほとんどはコンテンツを作成・登録し、承認した後にWebサーバにHTMLを配信するもので、Webサーバには静的なHTMLが置かれるという“静的CMS”であった。

 2005年度中には主なCMSは5〜6種に絞られてきたが、2004〜2005年度に導入が行われたCMSの90%以上は静的CMSで、動的CMSは10%程度に留まった。

フェイズ2:2005〜2006年度フェイズ2:2005〜2006年度

 2005年から2006年度は、パーソナライズを含めた動的CMSの導入が急速に進んだ。市場全体の拡大もあり、静的CMSも数量は伸びたもののシェアは50%程度で、動的CMSと静的CMSは肩を並べた。

フェイズ3:2007年度〜フェイズ3:2007年度〜

 2007年度は動的な機能をサポートするCMS製品が増加することから、さらに動的CMSの躍進が見込まれる。そしてビジネスシステム連携の大規模事例が表出することで、フェイズ3が始まるだろう。上述のサンタンデール、バーミンガム市、フォードの事例のようなシステムが日本でも報告されることになりそうだ。

日本にも欲しいCMS専門メディア

 この連載では各種事例を通じ、CMSをビジネスに活用する方法のいくつかを提示してきた。CMSをビジネスに活用する事例は今後、いくつも出現するだろう。これらの先行事例は、CMSをビジネスに活用しようとされる方には参考になるに違いない。

 さて連載を終えるに当たって、最後に現段階では日本に存在しないCMSの中立的な専門メディアの意義を伝えたい。米国にはCMS Watch、CMS Wire、CMS ReviewのようなCMSに特化した中立的なメディアが存在する。これらメディアは導入検討ユーザー、導入済みのユーザー、CMSビジネスの推進者といった人々の水先案内人の役割を果たしている。

 CMS専門メディア自身もWebを活用し、かつリアルなコミュニケーションが自由闊達に行えるフォーラムを併せ持ち、CMSのビジネス活用をあらゆる側面から支援している。日本には海外のものほど本格的なメディアはまだないが、一部にCMSに特化したサイトを構築されている方々がおられる。こうした方々に特別なエールを送りたい。これこそが、CMSビジネスそのもののWeb 2.0化なのだから。

著者紹介

デジタルアセット研究会

事務局 FatWire株式会社2003年から2005年度までの2年間、CMSをビジネスに活用するための各種技術や事例などをユーザー、SIer、デザイナー、印刷会社など20名程度の有志が毎月研究会を行っていた。この連載は、デジタルアセット研究会で話し合われてきた内容を基に構成したものである


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