連載
» 2007年06月14日 12時00分 公開

ITアーキテクトを探して(17):経営者はなぜソフトウェア開発環境展に足を運ぶのか

 2007年5月16日〜18日の3日間、東京ビッグサイトで第16回「ソフトウェア開発環境展」が開催された。ソフトウェア開発環境に関する最新ソリューションが一堂に集結する日本唯一の専門店であり、ソフトウェア開発者やITアーキテクトにとっては見逃せないイベントとなっている。

[構成:唐沢正和,@IT]

現場の開発者だけでなく経営者層の来場がさらに増加

 今年で16回目となる「ソフトウェア開発環境展(SODEC)」。このイベントは、ソフトウェア開発・保守・運用のための製品および技術が一堂に出展される日本唯一の専門展だ。ソフトウェア開発環境に特化した最新動向や製品・サービスの情報をトータルに入手でき、比較検討できる場として、ソフトウェア設計者・開発者、そしてITアーキテクトなどを中心に、毎年大きな注目を集めている。

 「SODEC」の役割は、年々その重要度を増しているという。実際、今回は過去最多の1381社が出展。来場者も3日間で11万626人に達し、出展社数、来場者登録数ともに過去最大規模での開催となった。その背景としては、情報システムの持つ役割そのものが変わりつつあることが挙げられる。これまでの情報システムは、業務の効率化を図ることだけが主な役割だった。しかし、現在では、現場レベルの業務効率化にとどまらず、経営や事業基盤を支える仕組みとして、企業に深くかかわるものになってきているという。

 その一方で、情報システムの高度化はとどまることなく進展しており、新しい技術や製品、サービスが次々と生まれ、把握し切れないほどの情報が市場にあふれているのが現状。こうしたさまざまな情報をいち早くキャッチし、いかに早く効率的に自社の情報システムに組み入れていくかがこれからの課題であり、その意味で「SODEC」は、ソフトウェア開発者・技術者だけでなく、企業の情報システム全体の方向性を決める経営者層にとっても見逃せない重要な展示会といえよう。

 その証拠に、今回の「SODEC」には、例年にも増して企業の経営者層や経営企画室の来場者が多く見られたという。特に、経営者層が注目したのが、日本版SOX法などの内部統制に対応する情報システムの構築。内部統制の実施に向けては、BPMなどのビジネスプロセス関連ツールによる情報システムのサポートが不可欠。そのため、展示会場に設置された「SOA・BPMゾーン」には、とりわけ多くの経営者層からの視線が集まった。

 「SOA・BPMゾーン」は、 「SOAベースでシステムを構築し、TCO削減を実現したい」「業務改革を実現し、より効果的なビジネスモデル・ITを構築したい」といった、経営者層からのニーズに応えるため特設したゾーン。SOAソリューション、SOAコンサルティングサービス、ビジネスプロセスモデリング・設計ツール、ESB製品、データ連携ツール、SOA対応開発ツール、プロセス統合エンジン・ソリューション、EAIツール・ソリューションなどを手掛ける主要ベンダが一堂に集結した。

 中でも、インフォテリア、NTTデータイントラマートが大きめのブースを構えており、インフォテリアでは、簡単に素早く、安全にシステム・データ連携を可能にするソフトウェアの新製品「ASTERIA WARP」を、NTTデータイントラマートでは、6月リリース予定のWebシステム開発基盤「WebPlatform」とEclipseプラグイン開発ツール「eBuilder」の最新バージョンを中心にアピールしていた。

新設のリッチクライアントゾーンに大きな注目

 このように「SODEC」では、毎回その年に注目されるテーマごとに、いくつかの特設ゾーンを設置し、各ゾーンのテーマに合った製品やサービスを提供するベンダを集めて展示を行っている。今回は、先ほど紹介した「SOA・BPMゾーン」をはじめ、「リッチクライアントゾーン」「システム開発自動化ゾーン」「システム開発受託・オフショア開発ゾーン」「帳票ソリューションゾーン」「プロジェクト管理ゾーン」の6つのゾーンが特設された。このうち、今回から新設され、大きな注目を集めたのが「リッチクライアントゾーン」だ。

 現在、より高度な情報システムを開発するために効果的な手段として、リッチクライアントの導入が急速に進んでいる。こうした背景の中、「システムをHTMLからリッチクライアントに移行したい」「操作性と安定性を飛躍的に向上させたWebアプリケーションを作りたい」という、情報システム部門やシステム/ソフトウェア開発部門の責任者・担当者からの要望に応え、リッチクライアントを利用した業務ソフト、開発ツールを取り扱う企業を集結した「リッチクライアントゾーン」を新たに設置した。

 「リッチクライアントゾーン」で目立ったのが、アクシスソフト、カール、オズウェブテクノロジーの展示ブース。特にアクシスソフトでは、日立、カシオ計算機、ウィルコムなどのパートナー企業と共同でブースを展開。パートナー企業によるリッチクライアントのデモとソリューションを紹介するとともに、新製品として、業務に特化したビジネス用モバイルシステム「Biz/Browser Mobile」、専用サーバー不要の簡単Web帳票「PrintStream Core(プリントストリームコア)」を出展した。また、カールでは、Macでも動くリッチクライアント「Curl」の最新バージョンを、オズウェブテクノロジーでは、企業システムに特化したリッチクライアントツールの新製品「OZ XStudio」を来場者にアピールしていた。

 「今回の『リッチクライアントゾーン』の新設は、業界内におけるリッチクライアント導入のさらなる広がりに向けて大きな一歩になることは間違いない」と、「SODEC」では期待する。

 また、特設ゾーンで毎年来場者からの人気が高いのが「帳票ソリューションゾーン」。今年も、帳票作成ツールやレポーティングツール、電子帳票システム、ドキュメント自動作成ツールなどを提供する主要ベンダがこのゾーンに集結し、さまざまな最新ソリューションが展示された。

 このほかの特設ゾーンでは、「システム開発自動化ゾーン」には、システム開発自動化ツール・サービス、自動生成ツール、プログラムレス開発ツール・サービス、MDA(モデル駆動型アーキテクチャ)ツールなどを提供するベンダ、「システム開発受託・オフショア開発ゾーン」には、アプリケーションの受託開発サービスやシステムエンジニアの派遣サービス、オフショアサービス、システムのコンサルティング・設計開発・保守運用の受託サービスを手掛けるベンダ、そして「プロジェクト管理ゾーン」には、プロジェクト管理ツール、プロジェクトマネージメントのコンサルティングを行うベンダが集まった。

 会場内では、出展企業の各ブースで、真剣に商談を進める来場者の姿が随所に見られ、売上拡大につながる成果を得たベンダも多かったという。

専門セミナーも過去最多の受講者数に

 一方、展示会と同時に開催された専門セミナーでも、ソフトウェア開発者にとって見逃せないセッションが数多く用意され、3日間で過去最多の1万5207人が受講した。イベント初日には、野村総合研究所 取締役社長の藤沼彰久氏を招き、「ユビキタス時代のシステム構築 〜変わるものと変わらぬもの」と題した基調講演が行われた。この講演では、ケータイや電子マネーなどによって激変するフロントエンドと、いままで以上の高い信頼性を求められているバックエンドの、両側面から見たシステム開発について語られたという。

 また、2日目に行われた特別講座「次世代の開発基盤技術がわかる!『ソフトウェアファクトリ』徹底解説 〜開発の工業化を目指して〜」では、京都高度技術研究所 顧問の松本吉弘氏とマイクロソフト ソフトウェアアーキテクトの萩原正義氏の両名が、顧客・ユーザー主体の次世代開発基盤技術として注目されるソフトウェアファクトリに基づくシステム開発について徹底解説した。

 さらに、通常セッションにも話題の最新テーマを数多く取り入れており、例年注目度の高い品質向上やテストセッションをはじめ、見積もりなどのセッションを用意したほか、経営者層にも注目の内部統制についてのセッションや、ソフト開発でその必要性が高まっている「見える化」についてのセッションも行われ、多くの受講者を集めた。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ