サーバの健康診断してますか?目指せ! ネット時代の幸せな管理者(7)(2/2 ページ)

» 2008年03月05日 12時00分 公開
[山崎 佑司,@IT]
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3. サーバの環境は大丈夫か [環境監視]

 ラックマウントタイプのサーバを、自社やデータセンターの19インチラックに搭載して利用している場合によく起こりやすい事例として、温度の上昇があります。排熱設計をきちんとしないまま、1Uサーバをすき間なくラックに搭載していくと、想像をはるかに超える温度上昇が起こります。

 温度の上昇が、サーバ内部のハードウェアの劣化速度を速めたり、サーバ停止につながったりすることは容易に想像できると思います。

 サーバには、内部の温度センサから、現在の温度を取り出せるものがあります。また、ファンの回転数を計測できるモデルもありますし、電源電圧の変動を管理できるものもあります。これらのデータを使わない手はありません。温度や回転数などを常に把握していけば、サーバダウンを未然に防ぐための情報の1つとして使えます。

4. サーバは怪我をしていないか [ハードエラー監視]

 サーバのハードウェアも、稼働を続けていく中で故障することがあります。故障率の高いハードウェアの1つに、ハードディスクがあります。ハードディスクの状況把握には、どういった手法があるのでしょうか。

 まず、ハードディスクのI/Oを計測する、という方法があります。毎日同じ処理をしているはずなのに、ある日、突然I/O速度が低下していた、といった現象が確認された場合には、何らかのエラーが起こっている可能性があります。

 また、多くのハードディスクは、SMARTという自己診断機能を搭載しています。これによって、Read/Writeエラーをはじめとした、さまざまな情報を取得できるため、ハードディスクの故障を未然に検知できる場合があります。

 業務システムで利用するサーバは、CPUやメモリ、ハードディスクや電源など、各種のコンポーネントを冗長化することがあります。この際に注意しなければいけないことは、冗長化セット内の故障に気付かなければいけない、ということです。

 電源が二重化されているサーバで、片系の電源に故障が発生したとしても、サーバは稼働を続けます。しかし、この故障に気付かなければ、気付くのはもう一方が故障した時、つまりサーバが停止した時です。そうならないためにも、ハードエラーの監視は十分行いましょう。

5. サーバからの手紙を読もう [ログ監視]

 サーバは、いろいろなログを出力します。OSが出力するもの、サーバサービスが出力するものから、アプリケーションが出力するものまで、非常に多くのログが存在します。

 それぞれの機能でエラーが発生した場合、ログファイルにそのエラーの情報が出力される場合が多いものです。それは、サーバからのSOS信号のようなものです。

 そこで、ログファイルの中に、特定文字列(例:『Error』)が出力された場合に、それを管理者に通知することで、いち早くサーバの状況変化に気づくことができます。

すべてをまとめて管理するためには

 これまでご紹介したもの以外にも、サーバの状況を把握するために管理可能な情報はいくつもあります。最初からすべてを行うことは難しいので、まずは基本的な部分やクリティカルな部分の管理から始めていくとよいと思います。

 ここでご紹介した管理手法は、監視対象によって多岐にわたりますが、統合型の監視ソフトウェアを利用することで、一元管理が可能になります。商用の監視ソフトウェアを利用することももちろんありますが、オープンソースの中にも優秀な監視ソフトウェアがいくつも存在します(例:Nagios、Zabbix、Hinemosなど)。

 前回の記事の内容にもありましたが、監視は、設定したら終わりというわけではなく、定期的な人間によるチェックが必要ですし、障害とみなす閾値の設定の最適化は、長い道のりです。しかし、少しでもサーバの健康状態を可視化、数値化して管理していくことで、そこからさまざまな情報が得られますし、システムに愛着が湧いてくるかもしれません。

 皆さんも、ご自身のサーバの健康診断を見直してみてはいかがでしょうか。

著者紹介

▼著者名 川村 聖一

2001年 日本電気株式会社入社。キャリア営業、法人顧客SEに従事。

2004年 同社ISP部門へ異動。ISPネットワーク設計・構築、新技術導入、ISMS取得に従事。

2006年 NECビッグローブ株式会社へ出向。法人向けアウトソースサービスのコンサルティング・設計・運用を担当。Internet Weekプログラム委員。

2007年 JANOG運営委員として活動。

▼著者名 仲西 亮子

2000年 三井情報開発株式会社(現:三井情報株式会社)入社。

2000年 外資系ISPの技術部へ出向、IPアドレス管理やドメイン名管理業務に従事の後、同社iDCのバックボーン運用業務従事。

2002年 三井情報開発株式会社でiDC事業開始と共に出向解除。同社でASの管理・運用業務に従事。

2005年 同社のiDC事業部がMKIネットワーク・ソリューション株式会社として子会社化。これに伴い、MKIネットワーク・ソリューションズ株式会社へ出向、現在に至る。

2007年 JANOG運営委員として活動。

▼著者名 山崎 佑司

1999年 ソニーシステムデザイン株式会社(現:ソニーグローバルソリューションズ株式会社)入社。ソニー本社をはじめとした、大規模エンタープライズネットワークの設計、構築、運用を担当。

2001年 ソニーグループのショールームや、ソニーグループが主催する各種イベントにおけるネットワークシステムの企画、設計、構築、運営を手掛ける。

2003年 ソニーグループiDCのネットワーク運用業務に従事。データセンターインフラの設計、構築等の業務を行う。

2006年 テオーリアコミュニケーションズ株式会社入社。システムインテグレーション全般を担当する。

2007年 JANOG運営委員として活動。


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