ITセレクト powered by 発注ナビ

SaaS型ERPとは? メリットと選定時の注意点、導入すべき企業

author
ITセレクト編集部

更新

SHARE
X
Facebook
LINE
はてなブックマーク

統合基幹業務システムであるERPとして、従来のオンプレミス型に対して「クラウド型」を導入する企業が増えています。企業の基幹業務プロセスをガラッと刷新する可能性のあるIT製品だけに、どれを自社に導入するべきか、果たして自社に向くのかどうかから悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

本記事では、クラウド型ERPパッケージの導入で実現する効果、導入メリットと主な機能、そして検討ポイントを詳しく解説します。あなたの会社とビジネスに適するEPPを見つけるための一助となれば幸いです。

「自社に合う製品が分からない」

「時間をかけず効率的にサービスを検討したい」

\そんなときはITセレクトの相談専門スタッフが、ニーズに合った製品をご紹介します/

今すぐ相談する

SaaS型ERPの基礎知識

ビジネスの早期DX化が叫ばれる近年、急速なビジネス環境の変化にも対応が可能なSaaS型ERPが注目を集めています。そんなSaaS型ERPですが、ERPは大きく「クラウド型」「オンプレスミス型」に分けられます。それぞれに特徴があり、適している環境も異なるため、ERPを導入する際にはしっかりと把握しておくことが大切です。

ちなみにDXとはDigital Transformationの略語で、日本語では「データやテクノロジーを活用して、新たな価値を生み続けるビジネスを確立すること」を意味します。

ここでは、企業の導入例が増えているSaaS型ERPの基礎知識と導入シーンを主に解説していきます。

SaaS型ERPとは?

ERPは「Enterprise Resource Planning」の略称で、企業の基幹業務を統合管理するITシステムのことを指します。

SaaS型ERPとは、インターネットを経由して利用するERPシステム、ERPパッケージのことを指します。

SaaSとは、「Software as a Service」の略称で、インターネット上/クラウド上で利用できる形態のソフトウェアのことです。従来のパッケージ型ソフトウェアの導入方法とは異なり、月額料金を支払い、継続的にサービスを利用する点が特徴の1つです。

ERPは、企業の資産である「ヒト、モノ、カネ、情報」に関わるデータと基幹業務の統合を目的にするIT製品です。部門をまたいで企業経営に必要な情報を一元化し、「ヒト、モノ、カネ、情報」を効率的に活用できるようにします。具体的には会計、人事、生産、物流、販売、営業などの業務が挙げられます。

オンプレミス型ERPとの違い

オンプレスミス型とは、自社のサーバやネットワーク上に自社主導でシステムを構築して利用する従来型の形態です。

オンプレスミス型はクラウド/SaaS型に対し、自社の要件に合わせ、所有しているインフラを使ってERPを構築する分、機能を自社の需要に沿って柔軟に作り込んだり、ほかのシステムと連携したりといった、自社にニーズに特化した「独自性/高いカスタマイズ性」に利点があります。

その一方で、自社でインフラから構築する分、サーバや周辺機器の調達、ホスト費などのハードウェアコストがズンと初期に発生します。導入計画も長期化する傾向にありますし、自社でシステムを運用するシステム保守・運用・管理体制から、セキュリティ対策なども「自社」にそのままかかってきます。

PaaS型ERPとの違い

PaaS(Platform as a Service)型ERPは、インフラとプラットフォーム/OS部分をクラウドで調達して「アプリケーション環境」を利用する形態のERPのことを指します。ソフトウェアは自社で用意しつつ、インフラとハードウェア面の調達や管理、運用面はクラウドベンダーに委ねられます。SaaS型にないカスタマイズ性を確保しつつも、オンプレミス型にないハードウェアコストやスケーラビリティ(拡張の柔軟性)の課題をカバーできるイメージです。別に言い換えると、オンプレミス型ERPより導入は容易、SaaS型よりは導入難易度が相応に高い──そんな形態です。

SaaS型ERPのメリットと注意点

SaaS型ERPには、それぞれメリットとデメリットがあります。

・SaaS型ERPのメリット

  • 導入にかかる手間やコストを抑えられる
  • 管理に手間がかからない
  • 場所やデバイスを問わずに利用できる

・SaaS型ERPの注意点

  • カスタマイズ性や拡張性が低い
  • インターネット環境がなければ利用できない
  • セキュリティリスクが相応にある

SaaS型ERPのメリット

SaaS型ERPのメリットは、「導入にかかる手間」や「コスト」を抑えつつ、「早く」導入できることが挙げられます。

自社でサーバーやネットワーク、インフラなどを用意する必要がなく、契約すればすぐに利用できます。このことは、変化が急速なビジネス環境においても対応していきやすいメリットにつながります。使い続ける限り月額や定額の利用料金は発生しますが、ランニングコストも比較的算出しやすいといえます。

運用面では特に、ソフトウェア、ハードウェア双方の更新、セキュリティ対策も基本的なことはクラウドサービス事業者が用意するので、管理に手間がかからないことも大きなメリットです。運用・保守のリソースを効率化できるため、ほかのコア業務などにリソースを割けるようになります。

またクラウド型は、インターネット環境があれば利用できるので、場所や使うデバイスを問わずに使える「利便性」と「従業員の多様な働き方のニーズ」を同時に実現できることもメリットです。

SaaS型ERPの注意点

SaaS型ERPは注意点もあります。まず、用いるツール/システムは「クラウドサービス事業者が提供する機能」がベースになることです。多くの製品は長年の経験や工夫によって「だいたいのニーズをカバーできる万能型機能」や「業種特化型の機能」を備えますが、それらが「自社のビジネス形態と合っている」「足りない機能があるかもしれない」のかどうかは、実は未知数です。選定においては、自社の求める業務に適した機能を搭載しているかどうかを事前に確認し、検証して定めていく行程が必要になります。

また、クラウド型はインターネット環境さえあれば場所を問わずに利用できる半面、通信環境が喪失したら利用できなくなります。インターネットに接続しにくかったり通信が不安定だったりする場合、サービス提供者側の都合で発生するメンテナンス期間、あるいは意図しない大規模な通信環境トラブルなどが起こったら、業務に大きな支障が出る可能性があります。

データが「すべてインターネット上に保管される」ことも、業種や利用シーンによって課題に挙がります。例えば金融機関、国外へ流出してはならない機密情報を扱う企業などは「データが社外へ出ない/少なくとも国外へ出ない」などが最重要な要件になりますし、それ以外も「自社のデータ」の管理をサービス事業者に委ねる形態になります。

契約しているサービスが急に終了したらどうなるか、サービス事業者側のネットワーク障害でサービスが停止したらどうなるか、サービス事業者側のミスで情報漏えいが起こったらどうなるか、業務に大きな被害を被ることも可能性としてあり得ます。このあたりをどう勘案するかどうかは、メリットと注意点を天秤に掛けて……。とても難しい作業とはなりますが、それらを見極める必要があります。

クラウド型ERPの選定ポイント

SaaS型ERPの導入を成功させるためには、選ぶ際にポイントを押さえておくことが重要です。SaaS型ERPの選び方の注意点として、以下の3点が挙げられます。

  1. 自社の求める機能を明確にしておく
  2. 複数のサービスを比較する
  3. 信頼できるサービス提供者を選ぶ

○自社の求める機能を明確にしておく

IT製品の導入はまず、「自社の業務プロセスやニーズ、得たい効果」とともに、それらを満たす機能、仕様を持つサービスを選ぶことが肝要です。選定準備として「自社に必要なことを明確にし、“要件”としてまとめていく」ことから始めます。

具体的には例えば、「どの機能が必要なのか」「どの部門に適用するのか」から、「導入して解決したい課題」「得たい成果」を明確にし、必要なモジュールや機能、データの取り扱い方法などを定義していきしょう。

複数のサービスを比較する

SaaS型ERPは、製品サービス事業者(ベンダー)によって利用料金・プランや契約期間といった条件が異なります。サービス内容を比較検討して“いくつか”まで絞りつつ、不明点があれば遠慮なくベンダーに問い合わせましょう。自社の要件が明確ならばベンダーも的確な回答とともにきっと親身になってくれます。それに応えられないベンダーならば縁がなかったと判断しやすくなるでしょう。

ITセレクトは、貴社の課題・目的・予算に合わせてピッタリのERPシステムをご紹介しています。

⇒簡単入力で無料相談する

○信頼できるサービス提供社を選ぶ

クラウド型ERPは、総合的な品質もベンダーに依存します。品質とは例えば、サービスそのものの品質から、安定性、セキュリティ対策、サポート体制、担当者のコミュニケーション能力などがあります。特にセキュリティやデータプライバシー面においては、各種の認証やデータの暗号化、アクセス制御など、安全性を保証する措置が取られているかどうかは最低限確認しましょう。

ITシステムは一定以上の期間を利用することになるので、「信頼関係」を築けるかどうかの観点はやはり重要です。ベンダーの評判や顧客レビュー、契約条件などについても同時に調査しておくのも必要な手段といえます。

SaaS型ERPの導入が「向いている」企業

SaaS型ERPは、導入時の手間とコストを抑えやすいこと、「早く」導入できること、インターネットを使える環境であれば場所を問わずに使える利便性への利点があります。その一方で、「自社の業務に適合できるのか」観点のカスタマイズ性や拡張性に限りがあります。

これらを勘案し、例えばSaaS型ERPの導入が向いている企業は以下の通りです。

  • 独自の業務プロセスが少ない/過度に複雑ではない企業
  • 自社でインフラを構築できない/しにくい中小規模の企業
  • 金融/国際的な機密情報を扱う業種ではない企業
  • 柔軟な働き方を推進したい企業

クラウド型ERPは「完全自社開発型に比べるとカスタマイズ性に劣る傾向」だとしても、大抵の製品は概ねの企業ニーズを踏まえた「基本機能」は標準機能として用意されています。製品によっては、業界や部門ごとに適したアドオンやテンプレートも用意しています。

例えば、既に「業務プロセスがある程度見えている/把握できる」くらいに要件を定められる企業あれば、多くのERPベンダーによると、製品に備わる機能、仕様と照らし合わせつつ「問題なく業務が行えそうかどうか」を確認できればクラウド型ERPで問題ないシーンは多いようです。

クラウド型ERPの特徴を理解して導入計画を進めよう

SaaS型ERPは、導入の「手間」「時間」「コスト」「将来のシステム拡張性」の観点で、できるだけ早く、コストを抑えつつ導入したい企業に大きなメリットがあります。その一方で「企業全体の基幹業務」に関わるITシステムなので、一層自社固有のニーズをカバーできるかどうかと、事業継続性観点の注意点を理解して自社に適しているかどうかを確認していく行程も重要です。

「自社に合うIT製品・サービスが分からない」「時間をかけずに効率的にサービスを検討したい」というご担当者様は、ぜひITセレクトのコンシェルジュサービス(無料)までお問い合わせください。適切なIT製品・サービスのご紹介や各種資料を分かりやすくご提供します。

 

今すぐ資料請求できる「ERP」製品一覧

 無料で資料ダウンロード可能な製品はこちら

専門スタッフへ相談

会社名必須
お名前必須
部署名必須
日中つながる電話番号必須
メールアドレス必須
ご質問・ご要望等任意

専門スタッフへのご要望を記載ください(例:2ヶ月後までに勤怠管理システムを導入したい 等)

ご確認事項

  • ご登録いただいた情報は、共同事業者である発注ナビ株式会社(以下「発注ナビ」といいます)が取得いたします(発注ナビはアイティメディア株式会社(以下「アイティメディア」といいます)の100%子会社です)。また、各種ご連絡のため、アイティメディアにお客さまのお名前とメールアドレスほかの登録情報を電子ファイル等で提供します(アイティメディアにおける個人情報の取扱いについては「プライバシーポリシー」ページをご確認ください)。
  • 案件の詳細をお伺いするため、発注ナビよりご連絡差し上げる場合があります。

お申込みには、発注ナビ株式会社の「利用規約」「個人情報の取り扱い」及び発注ナビからのメール受信への同意が必要です。

ERPのシェア率と市場規模 ERP導入のビジネスメリットとツール選びのポイント

企業の競争力強化や業務効率化を目指す中で、ERP(Enterprise Resource Planning)の導入が注目されています。特にクラウド型やSaaS型のERPは、柔軟性と拡張性から多くの企業に採用されています。 ERPとは、企業の情報資源を一元管理し、業務プロセスを効率化する基幹業務システムです。製造、販売、人事、会計など多岐にわたる部門の情報を管理し、リアルタイムにデータを共有することで、企業全体の運営を効率化します。特にクラウド型/SaaS型の製品を中心に、市場規模が年々、しかも急速に拡大しています。 なぜERPおよびクラウド型製品の需要が高まっているのでしょう。本記事では、世界 […]

thumbnail

    クラウドシステムとは? クラウド型製品・サービスの種類と仕組み、ビジネス成果・導入メリットを分かりやすく解説

    「クラウド、クラウドとよく耳にするけれど、実は……どんなものなのか実際のところよく分かっていない」とお悩みの人もいるかもしれません。昨今、特にSaaS型のIT製品は、多くの企業が導入して「ビジネス成果を出し」ています。しかしいざ自身が検討する/導入するとなると難しく感じてしまうものです。 本記事では、改めて「クラウドシステムとは何か」を確認するとともに、特にSaaS型製品についての概要、導入成果とメリット、そして導入の仕方について、できるだけシンプルに「第一歩」を踏み出せるよう解説していきます。 「自社に合う製品が分からない」 「時間をかけず効率的にサービスを検討したい」 \そんなときはITセ […]

    thumbnail

      ERPの導入メリット・デメリット、主な機能と選定方法|おすすめERP 30製品を比較

      ビジネスを取り巻く環境は日々変化しています。急速に変化する市場で生き残るため、企業には業務効率化と的確な経営判断が求められており、それをサポートする有力なツールとして「ERP」が注目されています。 本記事では、ビジネスをより効率的に運営したい、的確な経営判断がしたいと考えている経営者や情報システム部門の方々に向けて、ERPの基礎知識をはじめ、ERPの主な利用形態、システム導入の流れ、おすすめのERP製品(全30製品/2025年4月時点)まで幅広く解説します。 機能で比較「ERP(基幹システム)」おすすめ製品一覧 無料でIT製品選びをお手伝いします 御社に合ったIT製品・サービス・会社を厳選して […]

      thumbnail

        「2025年の崖」とは? データドリブンとは? その概念と仕組み、“何をやればいいのか”を分かりやすく解説

        ビジネスシーンにおける「長年の経験に基づく勘や自信」は大切な感覚であり財産です。しかし、重要な場面になればなるほど、直感よりも「正確なデータ、客観的なデータを求められる」ことが増えてきます。「それってあなたの感想ですよね」──。そう言われる前に「データ」で客観的に示し、相手を納得させ、信頼を勝ち取る。これがデータドリブンの考え方の基礎です。データドリブンの考え方を取り入れることで、デジタルデータに基づく客観的な根拠を提示できます。 この記事では、データドリブンの概要、その重要性、実践手順などを解説します。データドリブンについて知りたい方や活動のの説得力を高めたい企業や担当者はぜひ参考にしてくだ […]

        thumbnail

          データの一元管理とは? DX推進に向けた一元管理の目的とメリット、その実現に向けた簡単な方法

          「膨大な情報・データ」をフル活用して業務、そしてビジネスの効率化を図る企業が増える中、「データの集約と管理方法の整備」はDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する要となっています。データをいかに効率的に管理し、スムーズに活用できるかが競争力強化に直結するため、自社として、社内のあらゆる部門が連携して取り組む必要があります。 この記事では、データを一元管理する背景と目的、従来の方法との違いや具体的な対象、ITシステムの導入で実現する方法を深堀りして解説します。自社全体のDX推進に向け、大きな一歩を踏み出すヒントを得ていただければ幸いです。併せておすすめのIT製品もご紹介します。製品を探し […]

          thumbnail

            カテゴリー関連記事

            関連記事をもっと見る

            この記事と同じカテゴリーの製品

            ツクルデ
            Oracle NetSuite

            製品をもっと見る