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「売掛金の回収が遅れて、支払いスケジュールが狂ってしまった」「請求書の発行や消込作業に手間がかかり、ミスも増えている」「Excel管理に限界を感じているけれど、どう改善したらいいか分からない」──こんな悩みを抱えていませんか?
売掛金が予定どおりに回収できなければ、仕入や給与の支払いに大きく影響します。帳簿上は黒字でも資金が足りなくなるリスクすらあります。
本記事では、売掛金管理の基本から実務の流れ、つまずきやすいポイント、そしてExcelとシステムの使い分けや支援ツールの選び方まで、実務で本当に役立つポイントを整理しました。日々の資金繰りや管理に少しでも不安や手間を感じている方は、ぜひご覧ください。
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目次
売掛金管理の基礎
売掛金管理は、企業の資金繰りを守るうえで避けて通れない重要な業務です。ここでは、売掛金とは何か、そしてなぜ管理がこれほど大切なのか、その基本から確認しておきましょう。
売掛金とは
売掛金は、企業が商品やサービスを先に提供し、その代金を後から受け取る権利のことを指します。とくに、企業同士の取引(BtoB)では、「掛取引」と呼ばれる、一定期間分の取引をまとめて後払いにする方法が一般的です。こうした取引で発生する、将来受け取る予定のお金が売掛金になります。
この売掛金は、会計上は「流動資産」として扱われ、いずれ現金化できる見込みのある資産とされています。一方で、取引先の経営状況が悪化した場合などには、予定通りに回収できないリスクもあるのが現実です。つまり、売掛金は「資産」と「リスク」の両方の顔を持っています。
また、似た用語に「買掛金」があります。売掛金が“受け取る権利”であるのに対して、買掛金は企業が“支払う義務”のあるお金を指します。この2つのバランスを把握しておくことは、企業の財務状況を理解するうえでとても重要なポイントです。
▼ポイント
- 売掛金は、後からお金を受け取る権利
- 企業間取引でよく使われる「掛取引」で発生
- 会計上は資産だが、未回収リスクも抱える
- 「買掛金」は支払う義務のお金で、売掛金と対になる存在
売掛金の仕組みや役割を正しく理解しておくことが、企業の資金管理の第一歩といえます。
売掛金管理の目的
売掛金管理の最大の目的は、入金の遅延や貸し倒れを未然に防ぎ、企業の資金繰りを安定させることです。企業活動では、仕入代金や人件費、家賃など多くの支払いが発生します。売掛金の回収が計画通り進まなければ、こうした支払いができなくなり、会社の存続自体が危うくなることもあります。
しかし、売掛金管理の役割はそれだけではありません。第一に、売掛金の残高や回収状況を正しく把握することで、経営判断のための大切な情報を手に入れることができます。手元にどれだけ資金が残っているかを見極め、設備投資や新規事業へのチャレンジといった将来の意思決定にも役立てられます。
第二に、取引先との信頼関係を維持するためにも売掛金管理は大事です。請求漏れや二重請求、誤った督促などは、相手先の信用を損なう原因になりかねません。正確な管理体制を整えることで、長期的な取引関係の基盤を築くことにつながります。
経営判断に役立つ可視化・KPI運用は「予算管理と予実管理の違いとは? 目的と進め方」をご覧ください。
おすすめ予算管理と予実管理の違いとは? それぞれの目的と進め方を徹底解説
売掛金管理の流れ
売掛金管理は、取引発生から入金の完了まで、いくつかのステップに分けて進めることが基本です。それぞれの段階で適切に対応することで、回収漏れや遅延のリスクを大きく減らすことができます。
手作業をやめる実践手順は「もう手作業は限界! 請求書業務を劇的に効率化する3つのステップ」をご確認ください。
台帳の作成
売掛金管理の第一歩は、取引先ごとの売掛金台帳を作成することです。この台帳には、「取引先名」「取引日」「請求金額」「入金予定日」「実際の入金日」「入金額」「売掛金残高」など、必要な項目をすべて記録します。
これによって、各取引先の取引履歴や現在の残高がすぐに分かるようになり、請求漏れや二重請求などのミスを防げます。
請求書の発行
次に、取引内容をもとに請求書を発行します。請求書発行は、売掛金回収のための最初のアクションです。ここでは、商品名や数量、金額、取引日、発行者名、請求番号、振込先など、必要な項目を正確に記載することが大切です。
また、締め日に合わせて遅れずに発行することで、入金遅延を防ぐことができます。営業部門と経理部門がきちんと情報を共有し、内容に間違いがないか確認する流れも重要です。
請求漏れの原因と対策は「請求漏れが起こる主な原因は? トラブル対処法と防ぐ方法」をご覧ください。
一緒にチェック!請求漏れが起こる主な原因はこれ! トラブル対処法と事前に防ぐ方法
入金確認と消込
請求書に記載した支払期日を過ぎたら、実際に入金があったかどうかを確認します。入金があれば、売掛金台帳に記録し、請求額と照らし合わせて消込処理を行います。
消込とは、入金金額と売掛金のデータを一致させ、回収済みにする作業です。振込手数料差し引きや複数請求の一括入金などで金額に差異が出た場合は、原因をひとつずつ確認し、正しく処理します。消込が遅れると資金繰りの把握を誤る原因になるため、スピーディーな対応が大切です。
未回収債権の対応
期日を過ぎても入金がない場合は、すぐに対応を始めます。まずは電話やメールで担当者に連絡し、支払い状況を確認します。
それでも入金がない場合は「催促状」を送り、さらに反応がなければ「督促状」や内容証明郵便でプレッシャーを強めていきます。最終的に法的措置や弁護士相談、債権保証サービスの利用も検討できます。重要なのは、問題を放置せず段階的にアクションを起こすことです。
売掛金管理の課題
売掛金管理の現場では、いくつか共通の悩みが見られます。それぞれの課題に目を向け、解決に取り組むことが回収力アップのポイントになります。
情報の分散
売掛金に関する情報が、営業や経理など複数の部署に分散してしまうことはよくあります。例えば、顧客交渉の履歴は営業部門が持ち、請求・入金データは経理部門にある、といった状態です。
このような「情報の分断」は、請求や入金対応に遅れを生み、顧客対応や社内連携の質を下げる原因になります。
属人化のリスク
消込など複雑な判断を要する業務は、特定の担当者に頼りがちです。もしその担当者が休んだり退職した場合、業務が滞る恐れがあります。
業務が属人化すると、引き継ぎや新人教育がうまくいかず、組織全体としての対応力が落ちてしまいます。
Excel管理の限界
多くの企業で、売掛金管理はExcelで行われています。初期コストはかからず始めやすい一方で、取引件数が増えるとデータ入力や管理が非常に煩雑になってしまいます。
入力ミスや数式のエラー、ファイルのバージョン管理の難しさ、複数人での同時編集ができないなど、手作業の限界が見えてきます。
業務の標準化・アラート運用は「販売管理システムの機能一覧(ワークフロー/入金管理)」をご覧ください。
売掛金管理の方法
では、実際にどのような方法で売掛金を管理すればよいのでしょうか。ここでは、Excelを使う方法と専用システムを使う方法の2つについて解説します。
Excelで管理する
Excelを使えば、初期費用なしですぐに売掛金管理を始めることができます。取引先が少なく、小規模な企業では十分に対応できる場合も多いです。また、自社のやり方に合わせて管理項目を自由に設計できる柔軟性も魅力です。
しかし、件数やデータ量が増えると作業負担が大きくなり、入力や修正にも時間がかかります。手作業に頼るためヒューマンエラーが増えやすい点や、情報共有の難しさも無視できません。
受領面のデジタル化は「【2025最新】請求書受領システムのおすすめツール」をご覧ください。
システムで管理する
会計ソフトや販売管理システムといった専用のツールを導入すると、売掛金管理の多くの工程が自動化されます。
- 請求書の発行から入金確認・消込まで一貫して処理できる
- ミスや属人化を防ぎ、業務を標準化できる
- アクセス権限や操作履歴の管理機能で内部統制を強化できる
取引件数が増えたり、消込作業でミスが増え始めた場合は、システム導入を前向きに検討するタイミングと言えるでしょう。
売掛金管理に役立つツール
ここからは、売掛金管理をサポートする代表的なツールやサービスを紹介します。それぞれ特徴があるので、自社の業務や課題に合ったものを選ぶことが大切です。
販売管理システム
販売管理システムは、見積・受注・出荷・請求・入金といった一連のプロセスをまとめて管理できるツールです。請求書の作成や入金確認、消込までを自動化し、各取引の履歴も蓄積されます。
また、複数の部門で情報を共有しやすく、現場でのミスや手間を減らすことにもつながります。
クラウド会計ソフト
クラウド会計ソフトは、銀行口座やクレジットカード明細と自動連携できるものが多く、入金情報の反映や定期的な消込作業を効率化できます。
インターネット環境があればどこでもアクセスでき、スマホやタブレットにも対応しています。担当者の作業負担を減らしたい企業に向いています。
債権保証サービス
債権保証サービスは、取引先が倒産した場合などに保証会社が売掛金の支払いを肩代わりしてくれる仕組みです。
保証料が必要ですが、貸し倒れのリスクを減らしたい場合や、与信管理が難しい新規顧客と取引する際に心強い味方となります。
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