
「営業担当者の行動が見えない」「Excelでの案件管理に限界を感じる」「売上が伸び悩んでいる」。このような課題を感じ、営業活動の効率化や成果向上を目指して「SFA(営業支援システム)」の導入を検討している企業が増えています。特に低コストかつ迅速に導入できるクラウド型SFAは、多くの企業にとって有力な選択肢です。
しかし、多種多様なツールの中から自社の課題解決に貢献する1つを見つけ出すのは容易ではありません。もし選定を誤れば、コストをかけたにもかかわらず「現場で使われない」「効果が出なかった」という望ましくないことも起こり得ます。
そこで本記事では、SFAの基礎知識から、失敗しないための選定ステップ、そして5つの代表的な経営・営業課題別に適したクラウドSFAツールを厳選して紹介します。本記事があなたの会社の次なるアクションを考える一助となれば幸いです。
この1ページで解決!「SFA」の主な機能、活用シーンとメリット・デメリット、製品選定のポイントを分かりやすく解説
目次
なぜ今SFAが、特に「クラウド型」が営業活動で重視されるのか
市場競争の激化やリモートワークの普及など、ビジネス環境は大きく変化しています。このような状況下で多くの企業が「Excel管理の限界」や「営業活動の属人化」といった根深い課題に直面しています。個々の営業担当者が持つ顧客情報や案件の進捗状況がブラックボックス化している、組織としての戦略的な営業活動が困難になっているなどなど……つまりは、これまでの方法が時代に追い付かなくなってきているのです。
この課題を乗り越え、データを活用した戦略的な営業組織へと進化するためにクラウド型SFAが非常に有効なツールとして認識されるようになっています。SFAを導入することで、営業活動に関するあらゆる情報が一元管理され、リアルタイムでの共有が可能になります。結果として営業プロセスの可視化、業務効率化、そして最終的には売上の向上へとつながることが期待できます。
そもそもSFAとは? CRMやMAとの違いを1分で理解
SFA導入を検討するうえでは、混同されがちな「CRM」や「MA」との違いも改めて理解しておきましょう。それぞれのツールの役割と、営業プロセスにおける守備範囲の違いを明確に整理することで、自社に合ったシステムを選択しやすくなります。
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SFA(営業支援システム)が持つ3つの代表的な役割
SFA(Sales Force Automation)は、その名の通り「営業担当者の活動を支援し、自動化・効率化する」ためのシステムです。主な役割は、商談が始まってから受注に至るまでの営業プロセス全体を管理し、強化することにあります。具体的には、以下のような機能が中心となります。
- 案件管理:進行中の商談のフェーズ、受注確度、予定金額などを管理し、進捗状況を可視化します。
- 行動管理:営業担当者の訪問履歴や日々の報告(日報)を記録・共有し、活動内容を把握します。
- 予実管理:売上目標(予算)と実績をリアルタイムで比較し、達成状況の分析を支援します。
これらの機能を通じて、営業活動の属人化を防ぎ、組織全体の売上向上への貢献が期待できます。
目的で使い分けるCRM、MAとの関係性
SFAとしばしば比較されるのがCRMとMAです。これらは連携して使われることが多いですが、目的と役割が異なります。
- CRM(Customer Relationship Management):日本語では「顧客関係管理」と訳されます。受注後の顧客情報(購入履歴、問合せ履歴など)を一元管理し、顧客との長期的な関係を維持・向上させることを目的とします。アップセルやクロスセルにつなげるための重要なデータベースとなります。
CRMについてはこちら!CRMの主な機能、メリット/デメリット、選定ポイントを徹底解説
- MA(Marketing Automation):見込み客(リード)を獲得し、メール配信などを通じて育成することを目的としたツールです。見込み客の興味・関心度合いをスコアリングし、商談化の可能性が高いホットなリードをSFAに引き渡す役割を担います。
MAについてはこちら!MAツールの主な機能、メリット/デメリット、選定ポイントを徹底解説
つまり、MA(見込み客の育成)→SFA(商談化から受注)→CRM(顧客との長期的な関係構築)という流れで、各ツールがそれぞれの役割を果たし、連携することで企業の収益最大化への貢献が期待できるのです。
クラウド型SFAのメリット・デメリットを徹底解説
なぜ今、自社でサーバーを構築するオンプレミス型ではなく、インターネット経由で利用するクラウド型SFAが主流となっているのでしょうか。コストや導入スピード、運用の手軽さといったメリットに加え、事前に知っておくべきデメリットと、その対策について詳しく解説します。
クラウド型SFAを導入する5つのメリット
クラウド型SFAには、従来のオンプレミス型にはない多くのメリットがあります。特に中小企業や、スピーディーに導入を進めたい企業にとっては魅力的な選択肢です。
- 初期費用を抑えられる
- 契約後すぐに利用開始できる
- サーバ/インフラ管理が不要
- 機能が自動で最新化される
- 場所を問わず使える
1. 初期費用を抑えられる
自社でサーバや通信機器を用意する必要がなく、ハードウェアコストを中心とする高額な初期費用が発生しません。多くは月額または年額の利用料だけで始められ、導入のハードルが格段に下がります。
2. 契約後すぐに利用開始できる
ベンダーが提供する環境にログインするだけですぐに利用を開始できます。システムの設計や構築に時間やコストを要するオンプレミス型と比較して、導入決定から運用開始までの期間を大幅に短縮できます。
3. サーバ/インフラ管理が不要
システムの保守やアップデート、セキュリティ対策もベンダー側で行われます。情報システム部門の担当者がいない/少ない企業でも運用・メンテナンスの負担を気にすることなく利用しやすいでしょう。
4. 機能が自動で最新化される
法改正への対応や新機能の追加なども自動的に行われます。ユーザーは常に新しい環境でツールを使い続けることができます。
5. 場所を問わず使える
インターネット環境さえあれば、PCだけでなくスマートフォンやタブレットなどの端末からもアクセス可能です。外出先の営業担当者がリアルタイムで商談報告を入力したり、マネージャーが出先でチームの進捗を確認したりと、柔軟な働き方を支援します。
導入前に知っておきたいデメリットと対策
多くのメリットがある一方、クラウド型SFAには注意すべき点も存在します。事前にデメリットを理解し、対策を検討しておくことが重要です。
- カスタマイズの自由度が低い場合がある:オンプレミス型に比べて、自社の業務フローに合わせた大幅なカスタマイズが難しい場合があります。
【対策】:まずは標準機能で自社の目的が達成できるかを確認しましょう。多くのクラウドSFAは豊富な標準機能を備えており、設定変更で対応できることも少なくありません。API連携などを活用して、他のシステムとつなぐことで課題を解決できる場合もあります。 - 月額費用が継続的に発生する:初期費用は安いものの、利用を続ける限りランニングコストが発生します。
【対策】:ツール導入によって得られる効果(工数削減による人件費の圧縮、売上向上など)を事前に試算し、費用対効果を見極めることが重要です。 - セキュリティポリシーの確認が必要:クラウドサービスでは原則として顧客情報を自社管理外(外部のサーバ)に預けることになります。提供元ベンダーのセキュリティ体制を確認する必要があります。
【対策】:「ISMS認証」や「プライバシーマーク」の取得状況、データの暗号化、アクセス制限の機能などを確認し、自社のセキュリティ基準を満たしているかを見極めましょう。
【重要ポイント】失敗しないクラウドSFAの選び方 5つのステップ
自社に適したSFAを論理的に選ぶための、重要な思考プロセスを5つのステップに分けて解説します。このステップに沿って検討を進めることで、導入後のミスマッチを減らし、SFAの効果をより引き出しやすくなります。
Step1. 導入目的を明確にする(「何のために」を定義)
まず重要なのが、SFAを導入して「何を達成したいのか」という目的を明確にすることです。
「業務を効率化したい」では抽象的すぎて、やや足りません。例えば「商談化率を現状の5%から10%に引き上げたい」「営業担当者一人あたりの月間訪問件数を20件から30件に増やしたい」など、できるだけ具体的・定量的なゴール(KGI/KPI)を設定しましょう。この目的が、後の機能選定やツール比較の重要な「軸」となります。
Step2. 必要な機能を洗い出す(Must/Wantを整理)
設定した目的を達成するために、どのような機能が必要かを洗い出します。
このとき、「絶対に譲れない機能(Must)」と「あれば嬉しい機能(Want)」に分けて整理するのがポイントです。例えば「案件管理と日報機能は必須(Must)だが、見積書作成機能はあれば便利(Want)」といった形です。
ツールの著名度、多機能さなどに惑わされず、自社の目的に沿って必要な機能を絞り込むことで、コストの最適化にもつながります。
Step3. 現場のITリテラシーと操作性を確認する
SFAは営業担当者をはじめとする現場のメンバーが毎日使うツールとなるでしょう。しかし、どんなに高機能でも操作が複雑で入力に手間がかかるようでは形骸化してしまいます。
新入社員なども含めてどのメンバーでも直感的に使えそうか、スマホアプリの操作性は良いかなど、現場のITリテラシーを考慮して誰でもストレスなく使えることを見込めるツールを選びましょう。
Step4. サポート体制とセキュリティ要件をチェックする
導入時の初期設定支援や、運用開始後の問合せ対応など、ベンダーのサポート体制は定着の成否を左右する重要な要素です。特に社内へ多くの専任IT/開発担当者を確保しにくい企業、業務部門が自ら導入計画を進めるシーンでは忘れずにチェックしましょう。
例えば、電話やメールでのサポートは充実しているか、専任の担当者がつくかなどが挙げられます。また前述の通り、自社のセキュリティポリシーを満たしているか、信頼できるデータ管理体制が敷かれているかのチェックも欠かせません。
Step5. 費用対効果を試算する(無料トライアルの活用)
ツールのライセンス費用だけでなく、導入によってどれだけの効果が見込めるのか(工数削減額、売上向上額など)を試算し、費用対効果を検討します。
クラウド型の製品には、一定期間無料で使える無料版(無料トライアル/無料デモ)を用意する製品が意外と多くあります。無料トライアルができるならば、ぜひ遠慮なく活用することをおすすめします。実際に現場のメンバーに操作してもらい、使い勝手や自社の業務とのフィット感を確認しましょう。
【課題別】SFAの選定例/おすすめシステム5選
クラウドSFAと言ってもサービス・製品の選択肢はとてもたくさんあります。ここでは選定例として「よくある課題別」に考察したおすすめ製品を紹介します(2025年8月時点)。
このほかにもおすすめの製品があります。搭載機能や特徴、評価/口コミ数などで絞り込み/並べかえができる「おすすめクラウドSFA一覧&検索&比較コーナー」をぜひお試しください。またITセレクトでは、IT製品・サービス選定に詳しい専門スタッフに聞ける「ITセレクトのコンシェルジュ相談サービス(無料)」も用意しています。こちらもぜひご活用ください!























