コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)とヤフーは1月15日、Yahoo!オークション上での海賊版ソフトウェア流通を防止すべく、協力関係を結ぶことで合意した。常時出品数446万件を数える、巨大オークションサイト内での、著作権侵害対策を強化する。
両者の間で、著作権侵害にあたる出品の削除基準や、対応方法を取り決めておくことで、迅速な排除につなげる。また、ユーザーに著作権保護をよびかける活動も、共同で展開するという。
これまでも、ヤフーとACCSはそれぞれ違法出品を取り締まる活動を続けてきた。ヤフーは、1999年のオークションサービス開始から約1年後となる2000年8月より、パトロールチームを発足させ、あきらかに違法性のある出品物の削除などに取り組んできた。2001年からは、ユーザーの本人確認なども実施している。
「ガイドラインに違反するユーザーは、ID停止にする。ユーザーの情報をとって、別IDで再登録もできないようにしている」(ヤフー)。著作権侵害にあたる出品物を購入するユーザーも、補償規定の対象外にするなどの措置をとっているという。
ACCS側でも、海賊版ソフトの出品を把握次第、ヤフーに削除要請を行ってきた。刑事摘発の支援も行っており、2001年度には5件、2003年度には11件の摘発につなげている。
「出品者への質問」機能を利用して、出品者本人に著作権への配慮を促すメッセージも送信しているという。その数は、2003年7月末から11月末までで約4000件に上る。
「もっとも、通告後に出品をやめたのは、そのうちの約20%」(ACCS)。こうした状況の中、両者とも個別に対応するよりは、共同で海賊ソフト流通防止に取り組んだ方が、効率がいいとの考えに至った。
提携後は前述のとおり、ヤフーとACCSが互いの情報を元に、数項目からなる削除の判断基準を作成する。基準は、状況に応じて随時アップデートされる予定。
これにより、すぐにはそれと分からない海賊版ソフトを削除するにあたり、両者が1件1件個別に協議して、対応を決定する必要がなくなる。
「たとえば、著作権侵害ソフトの出品者は、そのグループに特有の言葉でソフトを紹介していたりする。これを元に、ACCS側で違法と判断しても、ヤフー側で再度吟味する必要がないようにする」(ACCSの戦略法務室、葛山博志室長)という。
加えて、著作権侵害の事例をYahoo!オークションのサイトで紹介し、ユーザーに著作権への理解を深めてもらう考え。ACCS側でもオークション出品者、入札者向けに問い合わせ窓口を新設するという。
ACCSの葛山氏は、Yahoo!オークションはP2Pと同様、それを利用して「エンドユーザーが著作権侵害を行う」という特徴があると指摘する。今後は、著作権保護活動は、積極的に連携して展開していくとした。
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