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ナナオがテレビを作るとこうなりました、スタイリッシュ&ナナオ品質とは?(2/2 ページ)

» 2004年02月05日 18時14分 公開
[大出裕之,ITmedia]
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普通のTVの映像は、作られすぎているのではないか?

 製品コンセプトを発表した北拓朗氏は、「多くのTVはコントラストや輪郭処理を強調しすぎ、不自然な画像になっている。普通のTVは画像が作られすぎており、音も飾られすぎている。ナナオとして、良いTVとは“忠実”に元の映像を再現するTVだという考え方をもとに企画した」と語った。

 販売においても、既存のルートでの販売は行わず、自社Webサイトの直販と、今後発表される提携先での販売のみとしている。当初ターゲットとしても、もともとEIZOブランドを認知している層を中心としている。また今後の展開としては、今夏に地上デジタルチューナー内蔵の大型モデル(30型程度)が予定されている。

 テレビ参入の意味について「将来の技術へ取り組みたかった、TVのデジタル化により、IT市場と家電市場が融合しつつある。IT市場で培った技術を展開していきたい」と語った。

EIZOダイレクト課・販売係・TV販売担当主任の北拓朗氏
“忠実な”映像再現をコンセプトとしている

21世紀の新しいTVをデザイン

 90年代半ばからEIZOモニターのプロダクトデザインを担当している川崎和男氏は、スタイリングだけでなく音声性能にもこだわり、「FORIS.TVシリーズの第一弾としては、この液晶サイズとスタイリングがベスト」。また表面のパンチング処理や色のこだわりも、実現に苦労した点とのこと。「映像機能や音声機能に加え、デザイン処理も含めて他のどこにも存在しない新しいTVの在り方を示せたのではないだろうか」と語った。

名古屋市立大学大学院芸術工学研究科教授・大阪大学大学院デザイン理工学センター特任教授の、川崎和男氏
文久3(1863)年に金沢藩13代藩主齊泰によって12代奥方の隠居所として作られた成巽閣(せいそんかく)のラピスラズリ・ブルーがカラー・モチーフとなった
ケーブルはまずスタンドの中に収められる
そしてスタンド後方から目立たないようにケーブル類が出てくる

克服するべき課題はたくさんある

 販売目標として、2003年度で8700台を目標。夏に発売予定の第2弾モデルを含め、2004年度で1万7000台を予定していると、ナナオ社長の実盛氏は述べた。

 家電参入の真意について「今参入しておかないと。激戦なのはわかっている。会社全体としての利益にはほとんど影響はないだろう。PC市場では認知されているが、一般消費者にどのように認知を上げていくか、克服するべき課題がたくさんある」とのことだった。

株式会社ナナオ・代表取締役社長の実盛祥隆氏(中央)

 Webおよび特定販売店だけの販売、通常のTVとの明確な機能・デザインの差別化と、家電への新規参入だけに慎重な姿勢がうかがえる。PC市場で認知されたハイグレードなEIZOブランドを家電市場にうまく持ってこれるか、それとも大手に押しつぶされるかもしれない。大手もこのようなニッチなハイグレードモデルを出してくる可能性もある。

 高級TV=大画面という認識が一般的な市場で、どこまで高画質というストーリーが受け入れられるかどうかだ。FORIS.TVの製品としてのクオリティがEIZOファンの心をとらえられるか、注目したい。

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