一方、ブロードバンド環境が整えば、コンテンツのネットワーク配信というビジネスモデルも可能性が増してくるだろうといわれている。日米でのブロードバンド環境整備の違いもあり、ブロードバンド配信モデルの研究に関しては日本が先行している感もあるが、一方で成功例もまだない。
巨大なDVD市場とは別に、HDの新しいメディアを普及させるよりも、25Mbpsぐらいならば光ファイバーで配信してもいいのでは? という考え方もあるだろう。ブロードバンド配信モデルは、オーナーの所有欲は満たさないものの、高品質のコンテンツを好きなときに手軽に見られるという意味では良い面もあるからだ。
「映画をパーソナルコレクションとして持ちたいというニーズが現在のDVD市場を作り出している。ブロードバンド配信では、コレクションとしての所有ができない。われわれはブロードバンド配信を、セルビデオの置き換えではなく、レンタルビジネスの置き換えとして見ている。2つの市場は別ものだ」(ラディロフ氏)。
では、HDコンテンツにおける、セルとブロードバンド配信の比率はどう見ているのか? 「現在、業界全体でセルビデオの売り上げが116億ドル。対するレンタルは45億ドルだ。この比率が将来、大きく変化することはないだろうと考えている。ブロードバンド市場については、DVDなどのセルモデルとは別に、クリエイターがインターネットのインタラクティブ性を前提にしたサービスやコンテンツを考え、開発を行っている。ただ、その詳細は極秘扱いになっているので、ここでは話すことができない」(ラディロフ氏)。
一方、横井氏は「ブロードバンド配信は、将来有望な分野だと見ている。しかし、モノになるまでにはあと10年ぐらいはかかるのではないか。パソコンメーカーがアジア系の安価なプラズマTVを入手し、格安で売れば大きな脅威になるかもしれない。そのころには、光ディスクのプレーヤーにブロードバンド接続インタフェースを搭載し、セルのコンテンツとブロードバンドコンテンツの両方を再生できるようになっていると思う。その時代になれば、ダウンロードでコンテンツを見る人も増えるかもしれない」と予想した。
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