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泥沼化した「イーバンク・ライブドア論争」〜双方の言い分(2/3 ページ)

» 2004年02月18日 22時48分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 イーバンク側が、ライブドアとのミーティングの場を設けて、提携関係の円滑化を図ろうとした際、ライブドアは以下のような主旨の発言をしたという。

 「現在の体制では、イーバンクは黒字化できない。われわれが経営に参加することで、黒字化に持っていく」。

 しかし、イーバンク側は経営にそこまで問題があるとはとらえていない。広告宣伝費を例にとると、「テレビ広告などもせず、同業他社に比べて抑えていると考えている」(イーバンクの松尾泰一社長)。業務委託にしても、「1社に丸投げするのではなく、分散化が進んでいる」(松尾社長)などと反論した。

 双方の説明を鵜呑みにすることはできないが、少なくとも、両社の考えるイーバンクの経営方針に乖離があったことは事実だ。イーバンクの星崎治男・代表取締役副社長は「企業文化の差が日に日に出てきたと思う」とコメントした。

「特別背任で告訴」を通知

 その後の両社の動きを、時系列で見ていこう。12月12日には、イーバンクがライブドアの出向受入れを解除した。

 12月19日には、「イーバンクから、出資契約が無効とする書面が送付された」(宮内CFO)という。同書面は、イーバンクにすれば「まだ手続きが完了していないようだが、どうなっているのか」という催促を意味していたようだが、行き違いが生じたようだ。こんなところにも、当時既に両社の意思疎通が困難だった状況が見て取れる。

 12月25日には、ライブドアがイーバンクに、松尾社長などを被告人として告訴する通知書を送付する。内容は、前述の“不透明”な証券化案件、および出資契約の“不履行”(“”部分は、両社間で意見が食い違っている)などを理由に、松尾社長が特別背任罪にあたるとするものだった。

 告訴状は、東京地検で受理されなかったようだが、「準備を固めてから、改めて損害賠償の手続きを検討する」と宮内CFO。ここにいたって、イーバンク社内では事態の収拾に努めていたとされる松尾社長も、態度を硬化させることになる。

 年が明けて1月14日には、堀江、宮内両氏のイーバンク取締役就任が却下された旨がライブドアに伝えられる。さらに、松尾社長はライブドア取締役に就任していたが、“一身上の都合”から1月22日に辞任した。

 そして、2月9日に日銀記者クラブで開かれたイーバンクの会見で、ライブドアとの提携を見直す意向であることが発表された。「事前の通達がなく、晴天のへきれきというか、我々も新聞を読んで知ったような状況だった」(宮内CFO)。

 この間、1月5日には宮内CFOの携帯電話に、松尾社長からの音声とされる録音が残された問題が発生した(記事参照)。しかし、この件をめぐる両社の主張はあまりにも大きく食い違っており、また低次元の論争に終始していることから、本稿では詳細の説明を省く。

 ただ、それぞれ「声紋判定の専門家によれば、メッセージに人工的な加工の痕跡は見られない」(ライブドア)、「外部の専門機関により、偽造の可能性が高いとの判定が出た」(松尾社長)と改めて主張した。

表面化した、意識の違い

 ひとつ、注意しておきたいのは、昨年の10月時点で、「イーバンクがライブドアに出資を求める状況があった」ということ。イーバンクは、2001年度と2002年度にそれぞれ37億7000万円、42億8000万円の当期損失を計上している。ライブドアが出資する前は、当期未処理損失として89億9000万円を抱える状況だった。

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