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泥沼化した「イーバンク・ライブドア論争」〜双方の言い分(1/3 ページ)

» 2004年02月18日 22時48分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 ほんの数カ月前、提携発表で手をとりあっていた両者が、いまや激しいいがみ合いを繰り広げている。イーバンク銀行とライブドアは2月18日、提携解消が取りざたされている件で、それぞれ記者会見を行った。

 事態は、ライブドアが損害賠償の請求に言及するまでにこじれている。両社の亀裂が、どのように深まってしまったのか、経緯を双方の観点から確認しよう。

Photo イーバンクの松尾泰一社長。当初は、事態の修復に務めていたという
Photo ライブドアの宮内亮治CFO。堀江貴文CEOは、海外に出ており不在だった

当初の関係は良好

 イーバンクとライブドアが、提携を発表したのは昨年10月22日のこと(記事参照)。イーバンク側は、ライブドアの抱えるISP会員やポータルサイトのトランザクションに目をつけ、ライブドア側もイーバンクの決済手段に将来性を感じたことから、相乗効果を期待しての提携だった。

 2003年9月から10月にかけて、ライブドアはイーバンクに約35億円を出資する。これにより、ライブドアは筆頭株主のポジションについた。

Photo 堀江CEOと、松尾社長の2ショット(ライブドアの機関紙より)。ライブドアグループは2000年にもイーバンクに出資しており、もともと両社の関係はよかった

 10月20日には、ライブドア側からイーバンク社内に、12人の社員が出向する。ところが、ここから両社の対立が始まることとなった。

 ライブドア側は、ファイナンスに強い部隊を送り込んで、イーバンクの事業内容を精査した。そこで、「不透明な投資」が行われている実態に気がついたという。ライブドアの塩野誠副社長は、「一例だが、当時財務状態が不安定だった企業に投資を行っていた」と指摘。「実質無担保にも関わらず、低金利で投資していた」と、切って捨てた。

 また、ライブドアの宮内亮治CFOは、そもそもイーバンク銀行が、“高コスト体質”にあえいでいたとも指摘する。

 「広告宣伝費、土地建物機械貸借料、業務委託費を合わせた割合が多く、営業経費の50%以上を占めていた」(宮内CFO)。ライブドアはこれを問題視し、当時数億円単位だったコストを“半分にせよ”と迫ったという。

 宮内CFOは、コスト削減の余地は大いに残されていたと話す。

 「広告宣伝費は、弊社のようにマスコミを利用したり、独自のポータルサイトを利用したりすれば抑えられる。土地建物機械貸借料にしても、大手に丸投げして、その見積もりをうのみにしており、大変高い機材を使っていた。また、業務委託費は特定の企業にのみ委託しており、競争原理が働いていない状況だった」。

 同氏はさらに、法人営業が弱いため、自らが営業本部長に就任して営業活動を行っていたとも説明する。筆頭株主の立場から、イーバンクの問題点を洗い出し、逐一改善を要求していった結果、両社の関係が悪化したと説明した。

 「よそものがやってきて、“コストカットだ”とわめくと、嫌な思いをするかもしれない。投資案件も、『おかしいのでは』とつついていったら、嫌われだした」。

 ところが、同じ内容をイーバンク側に説明させると食い違う。

 イーバンクの山田卓一郎営業本部長は、「ライブドアから出向してきた社員は、われわれ役員を誹謗中傷し、暴言を吐いた」と話す。

 同氏によれば、ライブドアの出向社員は、ある時は“ヒアリング”と称してイーバンクの従業員を呼び出し、「バカだのアホだのと吊るし上げを行った」。またある時は、役員に対して「お前らなんかいつでも解任してやる」との台詞を吐いたという。

 「占領軍のつもりか知らないが……」(山田営業本部長)。

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