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» 2004年02月19日 02時10分 公開

FTTHは1Gbpsで小休止、“DIY”の時代へ?

「FTTHの高速化は1Gbpsで小休止。その後はDIY(Do It Yourself)にも対応できるような市場環境を作りたい」〜NTTアクセスサービスシステム研究所の篠原弘道所長が、NTTアドバンステクノロジ(NTT-AT)主催のシンポジウムでFTTHの将来像を語った。

[芹澤隆徳,ITmedia]

 「FTTHの高速化は1Gbpsで小休止。その後はDIY(Do It Yourself)にも対応できるような環境を作りたい」〜NTTアクセスサービスシステム研究所の篠原弘道所長は、NTTアドバンステクノロジ(NTT-AT)のシンポジウムでこう語った。

 当初は最大10Mbpsで始まったFTTHサービスも、現在では最大100Mbpsが一般的になった。NTT東西地域会社は、B-PON(Broadband-Passive Optical Network)と呼ばれる技術を採用し、下り最大622Mbpsの回線を最大32世帯で共有する形のFTTHを提供中だ。また、B-PONの特徴である光波長多重技術を利用し、2月中にはスカパー!とNTT東日本が非IPの放送サービスを一部地域で開始するなど、光アクセスの技術は日々進化を続けている。

 「通信の上り/下りに放送を加えた“3波多重”は、世界的に見ても光アクセスの“基本”になるだろう。とくに米国の通信会社には、CATVという明確な競合相手がいる」(篠原氏)。

 さらに、NTTは今後数年のうちに1Gbpsの帯域幅を持つ“GigabitクラスPON”を採用する計画だ。同氏によると、採用を検討している技術は2種類あるという。

 1つはFSANとITU-Tで標準化された「G-PON」(Gigabit Passive Optical Network)。転送モードに「ATMとイーサネットの中間のような」PMF-TCを採用しており、可変長フレームでサービス毎に適した通信を行える。また、上り/下りとも段階的に帯域幅を変更できる柔軟性が特徴だ。

 もう1つは、IEEEが標準化した「GE-PON」(Gigabit Ethernet-Passive Optical Network)。転送モードがイーサネットのため、フレーム長は固定。帯域幅も上り下りとも1.25Gbpsのみとなる。

G-PON GE-PON
上り 155Mbps,622Mbps,1.25Gbps,2.5Gbps 1.25Gbps
下り 1.25Gbps,2.5Gbps 1.25Gbps

 2つの技術はともに長所と短所を持っているが、両者の違いは技術面だけではない。「提供するサービスに応じてフレームを変えるという通信キャリア的な“フルサービス”の考え方と、シンプルなイーサネットのフレームですべてを伝送し、端末側に機能を持たせるという“PCネットワーク”的な考え方の違いだ」。

 そして篠原氏は「個人的にはGE-PONに軸足が動いている」とした。「通信キャリアが、自分たちの技術だけでサービスを提供する時代は終わった。周りにある技術を使い、(ISPや機器メーカーと)市場を作り出すことが重要だ」。

ギガビット化のその先は?

 一方、篠原氏は「高速化は1Gbpsで小休止」とも言う。1Gbpsもまだ始まってはいない時期に尚早な判断に思えるが、これは単なるサービスロードマップの話ではないようだ。GE-PONとWDMの導入により、当面考え得るサービスには対応できる。しかしその後は、さらなる高速化よりも先にクリアしなければならない課題があるという。

 「従来の光アクセスは光中継技術の延長線上にある。信頼性は高く、大規模ビジネスユーザーの要求にも応えることができる。だが、一方で家庭に持ち込んだときには使いやすいとは言えない」。

 例えば、光ファイバーの取り回し。周知の通り、光ファイバーは“曲げ”に弱く扱いには注意が必要だ。このため、ONUなども一旦設置すると移動は難しくなり、「部屋の模様替えをしたくなったら、NTTに電話しなければならない」。

 コアの周りに6つの穴(空間)を設け曲げに強くした「空孔アシスト光ファイバ」などを例に挙げながら、篠原氏は電話やオーディオのように簡単に扱える光ファイバーや端末の開発に注力するべきだとした。将来的には、利用者に特別なスキルがなくても、配線や接続の作業が行える環境を整え、DIY(Do It Yourself)にも対応できるような環境を作りたいという。

 もちろん、光ファイバーや機器の進歩だけでは、DIYを実現することはできない。同氏は具体的な進め方として「ONUの開放」「情報家電へのONU搭載」「光配線部品の市場物品化」を挙げている。

 ONUの開放とは、以前のモデムやISDN TAのように、家電店でもONUが販売されるようになること。サードパーティの参入による製品の多様化と低価格化が期待できる。また、ONUが情報家電に内蔵され、光配線部品がショップで手に入るようになれば、宅内配線を含むオール光のホームネットワークも実現する。

 つまり、光回線が引き込まれている住宅に入居したら、サービスを申し込み、量販店に行ってONUやSTBを購入するだけ。あとは自分で光ケーブルをつなげればいい。もちろん、余った光ファイバーをONUの中で「くるくる巻く」必要などない。「ヨドバシカメラのような量販店で光コネクタを売っている。そんな状況を作るのが夢だ」。

 篠原氏の考えは、光アクセスのコモディティ化を図り、市場の拡大につながるというものだ。これは同時に、光ファイバーを水道やガスと同じ“生活インフラ”にするための前提条件といえるのかもしれない。

 「Fiber to the Homeという言葉は、あくまでも事業者側の発想。これを、“Fiber From The Home”、つまりユーザーが光を欲しいと思う状況に変えることが必要だ」(篠原氏)。

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