実は、これらの話は、静岡にあるソニー・ディスクテクノロジーの光ディスク生産工場にて伺ったものだ。静岡を訪ねた理由は、BD-RO製造装置の量産テストラインを取材するためである。ソニーは開発用のラインを東京にも持っているが、量産用のテストラインは静岡にしかない。
BD-ROは、製造コストがHD DVD-ROMよりも高いといわれるが、現場で公開された製造ラインは1層、2層ともに既にテスト稼働しており、1層ディスクは約5秒に1枚、2層ディスクも6秒に1枚のスループットでBD-ROの複製が行われていた(ちなみにDVDの2層ディスクはおよそ1枚あたり4秒。最新・最速のマシンで3秒を少し上回る程度のスループット)。いずれもテスト用で、スループットを向上させるための最適化は行っていないという。
なお、歩留まりは1層ラインの場合で70%以上、2層ラインは60〜70%の間というのが現状だ(DVDは90%以上)。これを来年のBD-RO量産期までに90%近くにまで引き上げたいとしている。
どのような手法でBD-ROの生産効率を上げているかについては、次回のレポートで詳しく解説するが、製造装置全体の規模は、DVDと同じか、むしろ小さいと感じるほどだった(DVDは反射層とピットを形成するスタッパが2台、ディスク基盤を作るインジェクション装置が2台必要になるが、ソニーが公開した製造装置はそれぞれ1台づつしか必要としないため)。なお、1層ラインはハードコートの行程が省略されていたが、2層ラインにはハードコート行程が組み込まれている。また、構造的には最大3層ディスクまでの製造をカバーする設計だ。
また、1層あたり25Gバイトのフルカット仕様のディスク製造もすでに問題なく行えているとのことで、(BD-ROの仕様には含まれていないが)1層あたり27GバイトBD-ROの製造も技術的には問題がないという。
一方、記録型のBD-REメディアの単価について、西谷氏は「(1層ディスクで)1枚あたり1000円を切ることが目標。ただし、もちろん生産量に大きく依存する。本体価格のおよそ1/100程度がメディア価格になると考えてほしい(現在も実売価格ベースでは、おおよそこの値に近い)。2005年から2006年にかけて、1枚あたりのコストが1000円を割るようになるはずだ」と話した。言い換えれば、その時期には10万円でBDレコーダーが買えるようになると考えられる。
こうした声に対して西谷氏は「10万円を切るのは2006年春ぐらいになるのではないか」との見通しを示した。
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