日本テレコムは4月1日、公衆無線LANサービス「モバイルポイント」を開始した。同社がJR東日本と2001年9月から今年3月まで試験的に無料提供してきた「無線による、駅でのインターネット接続実験」関連記事を参照)の商用化となる。
JR東日本の29駅、JR北海道の2駅、JR九州の2駅と、全国のホテルや図書館など計112カ所のホットスポットを各ISPに提供する。ISPのユーザーは、各スポットでPCから専用ログインぺージにアクセスし、IDとパスワードを入力すれば、IEEE 802.11b無線LANによるインターネット接続を利用できる。
実験時に提供していた、各ISPに加入していないユーザーが1日だけ利用可能なIDを携帯電話から発行できるサービス(関連記事を参照)は、利用者が少なかったため当面は行わない方針。
ODNとJENS SpinNetのユーザーは4月1日から利用できるほか、DION、DTI、ぷらら、b-mobile、無線LAN倶楽部、NET BUREAUも5月までに対応予定だ。
ISPへのサービス提供料金は、初期費用が20万円、月額利用料が30万円。月額利用料には、1日間何度でも使えるIDを、1200まで発行できる権利が付属する。IDが1201以上必要な場合は、1 IDあたり250円の追加料金が加算される。初期費用は9月30日までは無料。
ユーザーは、各ISPに利用料金支払う。金額は「ISPごとの判断」(法人事業本部マーケティング戦略部・松原大助部長)。ISP側の経費が1日1 IDあたり250円程度になるため「1カ月に20日間(5000円分程度)使うようなヘビーユーザーには高額すぎとの意見もあり、定額制などの料金プランも検討中」(松原部長)。
実験時のユーザーの多くが男性ビジネスマンだったことを踏まえ、ホットスポットはビジネスマンがよく使う場所を中心に順次増やす方針だ。JR東海と共同で無線LAN接続実験をしていたNTT-ME(関連記事を参照)や、JR西日本と同様の実験を行っていたNTT西日本、NTTコミュニケーションズ(関連記事を参照)との相互ローミングも検討中。各ISP独自のホットスポットを相互ローミングさせるサービスも予定している。利用可能なISPも増やす予定で、今年度中に20−30のISPの参加を目指している。
また、同社が企業向けに販売しているネットワークサービスなどに、同サービスを組み込むことも検討中だ。同サービスのアクセスポイントから、企業内ネットワークにダイレクトに接続できるサービスや、社内でアクセスポイントをまたいだ移動をしても、無線LANを接続し直さないで済むサービスを提供する予定だという。
同社によると、「無線による、駅でのインターネット接続実験」終了時のユーザー数は3万8000人。全エリア合計で1日あたり平均350−400人が利用し、利用者数は当初の3倍に増えた。
各社の無線LANサービスは期待ほどにはユーザーが伸びていないのが現状だが、日本テレコムは「無線LAN機能を搭載したPCが普及期を迎えた今が、商用化の好機」(松原部長)と判断した。採算ラインは明らかにしなかったが、1年でISP 20−30社の参加を見込み、企業向けサービスとも合わせて早期の黒字化を目指す。
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