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片面2層の記録型DVD――「DVD+R DL」の気になるあんなこと・こんなこと(1/3 ページ)

» 2004年04月28日 15時18分 公開
[新堀護,ITmedia]

 ソニーが前日、片面2層で8.5Gバイトの容量を持つDVD+R DLに対応した記録型DVDドライブを発表、これによって、徐々にその仕様が明らかになってきた。ここでは、DVD+R DL規格について現状で明らかになったことについて説明しよう。

先日、ソニーが発表した「DVD+R DL」対応DVD±RWドライブ「DRU-700A」

 DVD+R DL規格は、基本的には従来からあった4.7GバイトのDVD+R規格の記録層を2つにして、その記録容量を増加させたものだ。しかし、物理的に記録できる層(これをレイヤと呼ぶ)が“2つ”に増加したことで、これまでとは若干異なった記録手順や再生互換性向上のための工夫が取り入れられたようだ。

 これは、言うまでもなく、DVD+R DLが、片面2層のDVD-ROMとの互換性を追求しなければならなかったからだ。意地の悪い言い方をすると、これから説明することをしなければ、再生互換性などに多大な影響を与えることになる可能性が高いのである。

2層の記録には「オポジット」を採用

 2層のDVD-ROMの場合、読み出しにはその方向によってオポジット(逆行トラック)とパラレル(平行トラック)という2種類の方式がある。このうち、DVD+R DLで採用されたのは、「オポジット」だ。

 もう一つの読み出し方式、パラレルが採用されなかったのは、おそらく、「追記」を行うことを考慮したためではないかと想像される。パラレルでも理論上は、追記を行えるが、追記可能な状態での再生互換性という点では、オポジットを採用した方が有利な状態を作りやすいからだ(詳細は後述)。

 オポジットを使用した場合のディスクレイアウトは、レーザーピックアップからみて手前の層(これをレイヤ0と呼ぶ)の最内周にリードインが配置され、リードアウトは、レーザーピックアップからみて手前の奥の層(これをレイヤ1と呼ぶ)に記録される。

 そしてレイヤ0の終わり部分とレイヤ1の始まり部分には「ミドルゾーン」と呼ばれる折り返し点のような印が付けられる。この領域は、レイヤ0の場合、ピックアップのオーバーランを防ぐリードアウト的な意味合いをもち、レイヤ1では、リードイン的な意味合いをもつ領域となる。

 1層のみのメディアならば最後はリードアウトで終わるのだが、2層ディスクの場合には、市販のDVD-ROMなら、必ず、レイヤ0とレイヤ1にまたがってデータが書き込まれることになる。そこで、ミドルゾーンによって「折り返し地点」を明示してやる必要があるのだ。

2つの層に均等に記録〜追記時は、事前にテンポラリリードアウトを記録

 次に、DVD+R DLを使った実際の記録手順を説明しよう。

 まず、追記を考慮しないDAOで記録を行う場合は、レイヤ0から書き込みを始める。レイヤ0では、データを書き込む前にリードインを書き、その次にユーザーデータが書かれる。ユーザーデータは、レイヤ0とレイヤ1に均等に2分割して記録してもよいし、まず、レイヤ0の容量一杯までデータを記録し、残りをレイヤ1に記録してもよい。

 ただし、ここが重要なのだが、「リードアウトは必ずレイヤ1に記録する必要があり、最終的に記録されたエリアの長さ――レイヤ0ではリードインからミドルゾーン、レイヤ1では、ミドルゾーンからリードアウトまでの長さは、レイヤ0とレイヤ1で“均等”にしなければならない」ようなのだ。

 これは、レイヤ0の真下にあるレイヤ1の記録エリアが未記録状態だと、そこで、再生に不都合が生じてしまうDVDプレーヤーやDVD-ROMドライブなどが存在しているからである。

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