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ソニーのハイエンドAVアンプ「TA-DA9000ES」を試すレビュー(2/4 ページ)

» 2004年04月30日 12時23分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 特にSACD5.1チャンネルの再生では、音場に漂う音の密度がグッと濃くなり、アナログ接続のXA777ESでは現れてこなかった演奏者の息遣いまでが感じられるようになる。この差は、SACDプレーヤーの機種間の単なるキャラクター差よりもはるかに大きいように感じられた。

 なるほど、iLINKによるデジタル伝送の効果はハッキリとあるようだ。アナログでもSACDの良さは十分に分かるが、デジタル接続時の方がSACDに記録されている細かな情報まで拾ってくれる。ではiLINK接続時でも、プレーヤーの違いによる音質差はあるのだろうか? そこでiLINK出力を持つパイオニアのDVDプレーヤー(SACDにも対応している)「DV-969AVi」を接続してみる。

 するとデジタル伝送にすることによって向上した、解像度や音像の輪郭などは同様にアナログ接続時よりも向上するが、ずいぶんとサッパリした密度が薄い印象の音になってしまった。DA9000ESは本体内にバッファメモリを持ち、iLINK接続時にフロー制御を行っているためジッタによる影響は無に等しいハズだ。

 プレーヤーが読んだデータと、DA9000ES内で受信したデータは完全に同一のハズなのだが、それでも音が違う。ちなみにiLINKケーブルの方向を逆にしたり、iLINKケーブルを別のものに取り替えると、やっぱり音が変化する。特にケーブルを取り替えた時の音の変化は激しい。

 iLINKになり、機器間接続にあまり気を使わなくとも音質を高められると考えていたが、どうやらその点に関しては当てがはずれそうだ。iLINK接続でも、やはり接続経路やプレーヤーによる音の差はある(SPDIF経由でもプレーヤーによってCDの音が変化するのと同じだろう)。しかし、プレーヤーからの一貫したデジタル処理は、確実な効果が感じられる。近年増えてきたSACDマルチチャンネルソフト(日本ではまだまだだが、海外でのリリースは増加してきた)を生かすためのアンプを探しているなら、DA9000ESはかなりお買い得な製品だと思う。

シャシー上面のフタを開けたところ。アンプ部と付加回路をライザーカードに機能的に分割している

 なお、音楽ソフトの大半を占めるCDの音質も気になるところだろう。DA9000ESにデジタルで伝送し、CD音声を再生させた時の音は非常に解像度が高く、クリアでS/N感が高い。だが、少々冷たく感じるかもしれない。低価格のCDプレーヤーやDVDプレーヤーでCDを再生させる場合は、本機にD/Aコンバートを任せることで質を高めることができると思う。しかし、気に入った音調の質の良いプレーヤーを持っているのであれば、アナログでつなぐ方が良い結果になるかもしれない。このあたりは、質の高い/低いではなく、DA9000ESのCD再生音が気に入るかどうかの問題だ。

スピーカーとの相性、駆動力

 次にいくつかのスピーカーにつなぎ直してみた。といっても、用意できるスピーカーは限られているため、2チャンネルステレオで4種類のスピーカーに接続してみた。使用したのは、ソナスファベールGrand Piano Home、クレルLAT-2、B&W Nartilus 805および804である。

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