ケンウッドやシャープ、ソニー、パイオニアなどオーディオ機器メーカー8社が出資する「エニーミュージック」は、インターネットを利用した音楽配信サービス「Any Music(エニーミュージック)」を5月20日に開始する。
同社マーケティング部プロモーション企画課 統括課長の野村秀樹氏は、サービス開始直前の忙しい中、RBBの独占取材に応じ、エニーミュージックのサービス説明や対応機器でのデモを行ってくれた。その模様を紹介しよう。
まず、エニーミュージックでは、共通端末仕様やインターフェース仕様の作成、共通デバイスの開発に加え、オーディオ機器向けポータルサイト、顧客管理・決済システムを開発・運用し、マーケティングやカスタマーサポートなどを行っていくという。
出資会社および出資比率は、前記4社がいずれも15.9%、オンキョー、ディーアンドエムホールディングス、日本ビクター、ヤマハの4社が一律9.1%となっている。松下電器産業以外の大手オーディオ機器メーカーがすべて出資している格好だ。
エニーミュージックサービスの最大の特徴は、PCを使わずに、音楽のダウンロードや音楽CDの購入、音楽関連情報の閲覧が専用オーディオ機器(ミニオーディオコンボ)のリモコン操作だけで行えることだ。また同社は、国内18のレーベルが出資している音楽配信事業会社「レーベルゲート」や、CD販売会社「HMVジャパン」、全国のFM放送局ともそれぞれ提携。これにより、利用者はWebサイトからラジオでかかった曲をダウンロード購入したり、CDを注文したりもできる。
同社の音楽配信サービスを利用するには、自宅などにブロードバンド回線を引き、メーカー各社が5月20日から順次発売するエニーミュージック対応のオーディオ機器を購入する必要がある。
5月20日から順次発売される各メーカーのエニーミュージック対応オーディオ機器 |
エニーミュージックサービスの利用料金は、月額315円(初月は登録手数料が315円、翌月以降は利用料金として315円/月)。ダウンロードサービスには、レーベルゲートの音楽ダウンロードサービス「Mora(モーラ)」を利用する。販売する楽曲は約3万8,000曲で、ダウンロード料金はシングルが158円から、アルバムは1,050円からになるという(野村氏)。なお、初回にユーザー登録するシステムにより、課金・決済操作を省略できる。
エニーミュージック対応のオーディオ機器は、いずれも40GバイトHDDとCDプレーヤー、ラジオチューナーを搭載し、メモリースティック(マジックゲート対応)スロットを内蔵。本体背面には、10/100BASE-TX対応のEthernetポートが付いており、PCを使わずにリモコン操作だけでWebサイトにアクセスできる。
ダウンロード購入し本機ハードディスクに保存した楽曲は、マジックゲート対応のメモリースティックや、USB接続したNet MD対応ポータブルプレーヤーへの転送も可能だ。なお、野村氏は「配信される楽曲はソニーが開発した著作権管理技術「OpenMG X」で違法コピーが防止できるため、著作権者のメリットも大きい」と語る。
また、音楽CDから本機ハードディスクへの8倍速録音機能や、Webページ閲覧機能のほか、電子メールの送受信機能やフォトアルバム機能も装備。
音声フォーマットは、ATRAC3、PCMに対応。ビットレートは132/105/66kbps(ATRAC3時)となる。CDプレーヤーの音声特性は、20Hz〜20kHz(±1.0dB)で、ラジオチューナーは、AMが531〜1602kHz、FMが76.0〜90.0MHzに対応。
対応機器のインターフェースには、マジックゲート対応のメモリースティックスロットをはじめ、USB×2、音声入出力、アナログ/光デジタル兼用入力、光デジタル入力、ヘッドホン出力、S映像出力、映像出力を備える。
対応機器のリモコンボタンには、エニーミュージックのサービストップ画面(ポータルサイト)に1発でアクセスできる「エニーミュージックボタン」が付属。エニーミュージックのトップ画面は、音楽ダウンロード、CDショップ(HMV)、FMオンエア情報などのリンクメニューで構成される。これらのメニューからリモコン操作だけで、曲のタイトルやアーティスト名から楽曲を検索・試聴して、気に入った楽曲をハードディスクへダウンロードできる。最近のヒット曲やラジオ番組のオンエアリストなど、最新の音楽情報も閲覧可能だ。
エニーミュージックのサービストップ画面 |
音楽ダウンロード画面(Moraトップ画面) |
Moraの洋楽ランキング画面 |
FMのオンエア情報 |
FMのオンエア情報では、直前に放送された曲もわかる |
対応製品は、ソニー、ケンウッド、シャープ、パイオニアの4社が5月20日から順次発売する。ソニー製品の実売予想価格は、本体「NAS-A1」が90,000円前後、専用の5V型TFT液晶ディスプレイ「AUDP-A1」が20,000円前後。
前面がカバーで覆われるソニー製品 |
フロントカバーを開いたところ |
ブラックを基調としたケンウッド製品 |
ウッド調のスピーカーが特徴のパイオニア製品 |
大型ディスプレイが用意されるシャープ製品 |
これら対応機器の基本仕様をエニーミュージックが策定しているとのことだ。サービス開始時は家庭オーディオ機器向けのサービスだが、将来的にはカーオーディオなどの車載機器やモバイル通信機器との連携も検討しているという。(野村氏)
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