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“睡眠”の悩みを解決〜「suimin'ROOM」へ行ってきました(2/3 ページ)

» 2004年06月15日 00時00分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 suimin'ROOMに足を踏み入れると、「意外に狭い」と感じるかもしれない。広さは8畳から10畳程度だろうか。間接照明で浮き上がった室内を見渡すと、手前に相談コーナー(テーブル)があり、奥にベッドとマッサージ椅子を据えた横長のレイアウト。ベッドの正面にあるプラズマディスプレイが自然の風景が映し出し、バックには気にならない程度の音量で小川のせせらぎや虫の声が流れている。とてもショウルームの中とは思えない、落ち着いた雰囲気だ。

photo suimin'ROOMの設定は、「静かな住宅街」にある家

 「部屋の広さは研究データから割り出したものです。寝室は広いほうがいいという人もいますが、実際には40歳未満の若い人で8畳程度が適している。40歳以上の人でも10〜12畳。それ以上になると、逆に落ち着かなくなるようです」。

 また、虫の声のように、適度な音があったほうが眠りに入りやすいという。「静かなほうがよく眠れそうだと考えがちですが、人はあまりにも静かな場所にいると、逆に自分の頭の中で音を作り出してしまいます」。

 部屋には簡単な防音を施し、30〜35dBの音が常に耳に入るようにした。前述の虫の声や小川のせせらぎは、足下に設置したスピーカーから流れているのだが、これらも反響を利用して耳に優しい音になっている。

 部屋にある照明器具や寝具、空調、AV機器などは、同社が開発した統合制御システム「エミットスイミンシステム」が統括する。これを室内中央に置かれた「スイミンコントローラ」で操作する仕組みだ。もっとも、利用者のほとんどはプログラム任せで、自ら睡眠コントローラを操作することは滅多にないらしい。

photo スイミンコントローラ。タッチパネル式になっている

 全体で1時間ほどの通常メニューでは、前半35分をコンサルティングに、後半25分を睡眠体験にあてる。まずは睡眠コンシェルジュとテーブルに座り、前述の「眠り相談ソフト」をベースにして睡眠に関する悩みや生活環境をチェック、アドバイスを受ける。必要なら、結果をプリントアウトしてもらうことも可能だ。

photo 睡眠コンシェルジュのコンサルティング風景

 「眠りに関する問題は複数の要因が複雑に絡んでいることが多く、一気に解消するというのは難しいのですが、睡眠コンシェルジュは一つひとつの問題をつぶしていく手助けをします。さらに、その結果をもとに対策を施した部屋(Suimin'Room)で眠りを体験してもらう。音や光、寝具の動きなどは理想的な形にします」。

 とはいえ、人はすぐに寝られるわけではないし、まして見慣れないショウルームの中だ。壁に隔てられているとはいえ、すぐ近くに大勢の人がいる。そんな状況で落ち着いて寝られるのだろうか? やはり来場者の中にも「寝られるわけがない」という人がいるようだが、そんな頑固者に対しては「1つイタズラをします」(塀内氏)。

 塀内氏がポケットから取り出したのは、リストバンドのような形をした、通称「やすらぎ君」。自動車の電装部品などで有名なデンソーが開発したもので、腕に装着すると副交感神経の活性度を数値化してくれるという。

photo 「やすらぎ君」。ちなみに正式名称は「快眠計」というのだが、快眠コンシェルジュの人たちが「やすらぎ君のほうがいい」と、勝手に呼び始めたところ、定着してしまったらしい
photo 背面から光を発し、細動脈の動きから副交感神経の活性度を計測する。まだ数台のサンプルしか存在しないため、お値段は「カローラ1台分」。数年以内に商品化される予定だ

 実際、プログラムが始まると、最初は「寝られない」といっていた人でも「ほぼ100%の確率で寝てしまう」。しかも、やすらぎ君を付けていると、自分がいかにリラックスしていたか、数字でわかってしまうというわけだ。文句をいう前に、まずは体験してみたほうがいい。

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