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ウワサのキットロボット「KHR-1」を見てきました(2/2 ページ)

» 2004年06月19日 01時31分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 コサックダンスといえば、腰を落として片足を屈曲させたまま、もう片方を足を前方に伸ばすという高度なダンス。しかもバランスを取りつつ足を交互に素早く入れ替え……とにかく人間でも難しい部類に入るダンスだ。

 で、KHR-1のコサックダンスといえば、激しい踊りだった。上半身は上下左右にぶれて危なっかしい印象だが、なんとか倒れる前に終了。今度は、子どものお遊戯を見た親のような気持ちで拍手を送りたくなる。

 こんな激しいアクションをこなす「KHR-1」は、さぞバランス感覚に優れているだろうと思ったが、センサーやジャイロの類は一切搭載していない。前述のように、サーボモーターとフレームだけで組み上げたロボットだ。ではなぜ、倒れないのだろうか。

 「サーボモーターの“保持力”が大きいからです」と秋山氏。保持力というのは、目標の角度から動かないようにする力のこと。「たとえば大きいロボットなら、倒れる前に“あて舵”をあててバランスを取りますよね。対してKHR-1の場合は、理想の重心位置を、足の裏から外さないパワーを持っています」。

photo 横にしても全身の姿勢を保持。パワーがある証拠

 重心を外さない。理屈はわかるが、その“理想の重心位置”をどうやって割り出すのか。「モーション入力のとき、ロボットに教えてあげればいいんです」。

モーション入力の革命? 「教示機能」

 「KHR-1」に使われたサーボモーター「KRS-784ICS」は、マイコンボード「RCB-1」との組み合わせにより、「教示機能」と呼ばれるモーション入力が可能になるらしい。これは、機体を手で直接動かし、モーターからのフィードバックによってモーションデータを入力するというもの。同社によると「市販品のサーボとしては世界初」だ。

 手順はこうだ。各サーボモーターを一旦“フリー”の状態にしておき、ロボットに任意の格好をさせる。このとき、接続したパソコンで「ショットボタン」を押すと、サーボモーターが出力軸を固定し、軸の位置情報を送り返してくる。そのデータを保存しておけば、いつでも同じ格好を再現できるという仕組みだ。軸を固定させる前に体のバランスをしっかり確認しておけば、後で同じ動作をさせてもバランスを崩すことはない、というわけ。

 さらに教示機能では、複数のシーン(格好)をキャプチャーすると、ソフトウェアが間の動きを補完して、一連の動作に変えてくれるのだ。スピードの変更など微調整も可能で、保存した動作をつなぎ合わせて一つのシナリオを作ることもできる。

photo 専用ソフト「HeartToHeart Ver.1.0」の画面。サーボをフリーにしたり、固定させるといった動作も行える。いかにもツール然とした画面デザインは、ちょっと無愛想かも

 「数値をいちいち入力しなければならなかった従来のロボットとは、比較にならないスピードで動作を設定できます。パラパラだろうが、ドジョウすくいだろうが、きっとすぐに踊れますよ」。

 誰か、私にロボットのドジョウすくいを見せて下さい。


 残念ながら、今のところ「KHR-1」の取扱店は少ない。店頭で扱っている所といえば、東京・秋葉原の「ツクモ ロボット王国」のみ。あとはツクモの通販サイト(楽天の中にある)と近藤科学の直販サイトだけだ。

 「販売店からの引き合いも多いのですが、プログラミングにパソコンを使うため、ホビーとパソコンの両方を扱える店舗に絞って探しているところです」(平井氏)。同氏によると、近い将来、東京以外の地域でも店頭で入手できるようになるという。

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