新たに追加されたSLPモードは、EPモードと比較しても輪郭の滑らかさが失われ、ブロックノイズが目立つようになる。LPモードと比較すると画質の差は明白で、恒久的な保存には向かないことがわかる。他社の競合製品でも同様だが、2004年モデルで追加されたいわゆる新長時間モードは「とりあえず録画しておくか」といった番組を録画するときに使う……と割り切った方がいいだろう。
基本的な録画品質に目を向けると、相変わらずパイオニアらしい画作りだ。発色を派手な方向に振ることなく、エッジを適度に立てたシャープな画質で、家電というよりもAV機器的な印象を受ける。色乗りがリッチな松下電器産業「DIGA」などと比較すると、対照的な画質といえる。このあたりも、2003年モデルから大きく変わってはいない。
これまで触れてきた部分以外にも、フレーム単位での編集機能(部分カット)や再生画質の細かい調整、そしてDVD-RWメディアの自動フォーマット機能など、いかにも老舗の製品らしい便利な機能が多く見受けられる。もともとEPG非搭載という点を除けば2003年モデルの評価も高かったメーカーだけに、新製品の完成度は高い。
その反面、前編で触れたようにEPGの活用方法が中途半端だったり、録画番組の管理、つまりは検索機能が今ひとつだったりと、2003年モデルを悪い意味で引きずっている印象も残る。
たとえば動画サムネイル付きの録画番組一覧は便利な機能だが、筆者はEPGでの予約録画を中心に据えるなら不要だとすら思っている。番組名と録画日だけで十分識別できるからだ。動画サムネイルが一覧表示のレスポンスの悪さにつながっているのも事実で、ほかの部分はレスポンスが良いだけに気になってしまう。
とはいえ、「DVR-620H-S」は画質、機能、操作性のバランスに優れた優等生的なハイブリッドレコーダーだ。待望のEPGを搭載し、幅広いユーザー層に対応できるようにもなった。強くひきつける“何か”が足りないような印象は受けるが、それこそ製品作りに対して生真面目な“パイオニアらしさ”なのかもしれない。
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