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ユーザー・音楽業界へ一石を投じる存在に――エニーミュージック 野口社長インタビュー(1/3 ページ)

» 2004年07月21日 10時11分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

「入り口は見えた」――感じる手応え、そして難しさ

 「製品を出荷してみないと分からないという面もありましたが、プラスの面と難しい面があることが分かってきました」。

 サービスが開始されてから2カ月が経過した現在、野口氏はそう振り返る。

 「パソコンを使わないデジタル家電をネットワークに繋ぎ、コンテンツを販売することで成り立つ市場が本当に存在するのか。これまでは疑問だったのですが、これからは“あるな”と実感しました。これがプラスの面です」「昨今はデジタル家電が花盛りですが、デジカメや液晶、HDDレコーダーにしても助走期間があったわけで、その入り口がエニーミュージックについても見えたかなという感じですね」

photo 動作レスポンスなど使い勝手と音質にはこだわったという野口氏

 “リビングで音楽配信を楽しむ”という新たに同社が提案するコンセプトに対してユーザーからの反応も良好とのことで、野口氏としてもビジネスとして成功する手応えを感じているようだ。また、実際にサービスが開始されてからは、CDレーベルなどコンテンツ提供元からも好意的な反応が寄せられているという。

 「サービスを開始してみて印象的なのは、コンテンツ提供元からの反応がガラッと変わってきたことですね。やはり製品を出してみないと分かりにくい面があることは否めませんから。エニーミュージックがまだ構想段階だった頃は門前払いではないですが、なかなか理解してもらえませんでした」

 実際にエニーミュージックのサービスを体験してもらえるようになってからは、「こうしたこともできる」「ああしたこともできる」という提案がコンテンツ提供元やクリエイティブなどからも寄せられるようになったという。

 ニッチな層を狙うコンテンツやさまざまな課金方法の検討、TFM系列以外のFM局との連携など、さまざまなサービス拡張が各社から提案され、検討されている。これは実際のサービスがスタートし、エニーミュージックが目に見える形でサービスを提供できているからこそ、である。

 「体験してもらえれば、ユーザーにもサービス提供元にも理解してもらえるという」という感触を得た野口氏であったが、“ユーザーに体験してもらえれば”というには一つのハードルが横たわる。販売店の理解と配慮である。

 「対応機器が店頭にポンと置かれていても、私たちのサービスを分かってもらうことはできません。これまでのオーディオ機器と同じ売り方では売れないんです。ユーザーが体験できるようにしてもらわないと」

 これまでにないサービスを提供するだけに、実際にそのサービスを体験してもらえないことには、その魅力は伝わらない。ユーザーに体験してもらう機会を設けないことにはどうしようもないというのが現在の悩みだ。

 「やはりダウンロードできる環境で体験してもらいたいですが、販売店の店頭で音楽をダウンロードできるとその楽曲をコピーされて持ち運ばれてしまうかもしれません。イベントなどでユーザーに直接体験してもらえるよう、努力しています」

「欲しい曲はある?」

 では、実際にエニーミュージック対応機器を購入したユーザーからはどのような反応が寄せられているのだろうか。

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