一番多いのはダウンロード購入できる楽曲の品揃えについての要望で、「どうして○○の曲はないの?」といった問い合わせが多数を占めるそうだ。そのほかにも、HMVのポイントカードをCD購入サービスで使いたい、ダウンロード購入とCD購入の機能をもっと連携させて欲しいなどという意見も寄せられている。
筆者がレビューをした際に感じたHMV利用時の登録の煩雑さ(エニーミュージックとHMVは別途に利用登録が必要)だが、この点について野口氏は「エニーミュージック側でHMVの提供するサービスがすべてカバーできない以上、ある程度の線引きが必要。責任分担を考えたとき、利用登録を別途行ってもらうことが線引きになる」と説明している。
しかし、野口氏は今後、エニーミュージックのサービスが拡張されれば、サービス利用についてユーザー情報の相互乗り入れが実現する可能性もあるとしている。エニーミュージックのプラットフォームにはMora/HMV以外のサービス提供元も関心を示しているとのことなので、新サービスが開始される際には、より便利にサービスが利用できることになりそうだ。
また、コアユーザーは30〜40歳代の男性だが、思ったよりも女性や50歳代のユーザーも多いという。「これはやはり端末の形状と値段によるものだと思います。リビングでミュージックサーバーの様な使われ方をしているいるのではないでしょうか」。野口氏はそう分析するが、30〜40歳代の男性というユーザー層はエニーミュージックの目標とする層とマッチするのだろうか。
「サービスとしては全方位型のサービス提供を目指します。今のコア層は30〜40歳代の男性ですが、次はもう少し年配の層ともう少し若年の層を狙いたいと思います。年配の方には既に自宅にあるであろうハイスペックなオーディオと組み合わせられる端末と、それに見合ったコンテンツ。若い層には、ポータブル端末や若い層に見合ったコンテンツを提供していきたいですね。ハードとソフト、双方へのアプローチが必要ですね」
エニーミュージックが提供しているサービスは、「音楽ダウンロードサービス」+「オンラインCD購入」+「FMオンエア情報」の3つ。野口氏は以前、「エニーミュージックはプラットフォーム」とサービス拡張をにおわせる発言をしているが、新たなサービス拡張は検討されているのだろうか。
「実は、構想段階ではインターネットラジオから始まって、サービス案というものはたくさんあったんです。ですが、それらをそぎ落とすことで現在の形にたどり着いたんです」
前述のようにエニーミュージックに関心を示すサービス事業者は多く、全く検討されていないということではないが、機能を厳選することで現在の形を決定したという経緯から、今すぐの機能拡張はなさそうだ。ただ、その優先順位付けはサービス開始前に行われていたことから、サービスを開始した現在では、ユーザーから寄せられた要望などをもとに、その優先順位付けを検討し直しているそうだ。
サービスイン時に用意されたソニー/ケンウッド/パイオニア/シャープの4端末については、共同開発されたという経緯もあり、外見や機能は似通ったものになってしまっている。次期対応製品はどのようなものが登場するのか? 野口氏は、ハードウェアについては各メーカーの製造するものなので…と前置きしながらも、「各社準備を進めており、バラエティに富んだ製品が登場することになるでしょう」と述べた。
サービス開始時のトークセッションで言及された携帯・カーナビへのサービス提供はどうなっているのだろうか。
「携帯についてはビジネスモデルをどうするかを慎重に検討している段階ですが、カーナビへの提供は順調に進んでいます。現在提供しているサービスをフルに提供できるかは車載ということもあり未定ですが、既にプロトタイプも完成しています」
さすがに車載機器でのブロードバンド対応は難しいため、フルサービスの実現は困難というが、自宅にあるエニーミュージック対応機でダウンロード購入した楽曲を車内で聴いたり、車内で流れているFM放送の曲名をクリッピングして自宅のエニーミュージック対応機からCDを注文するということが可能になるかもしれない。まさにAny(どこでも)を名前に関するエニーミュージックの面目躍如といったとことか。
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